Fascination N−D−File エネルギー保存の法則

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エネルギー保存の法則(エネルギーほぞんのほうそく、the law of the conservation of energy)は、エネルギー保存またはエネルギー保存則熱力学第一法則(ねつりきがくだいいちほうそく)ともいう。『ある閉じた系の中のエネルギーの総量は変化しない』という物理学での最も基本的な法則(保存則)の一つである。

熱力学第一法則

熱力学では

dU = δQ - δW (dUは閉じた系の内部エネルギー変化、δQは系が外部から加えられた熱量、δWは系が外部にした仕事)

といった形で表現され、熱力学第一法則とよばれる。物理的には熱も仕事も同じエネルギーの一種であり、エネルギー収支(増減)がすなわち内部エネルギー変化であるという法則。式の意味は加えられた熱量の分だけ内部エネルギーは増加し、外界に対して行った仕事の分だけ内部エネルギーは減少するということである。何もエネルギー源のないところからひとりでにエネルギーが生まれることはなく、逆に発生したエネルギーが消滅することもないということを表わしている。

なお、19世紀には、質量について同様の質量保存の法則を持つとされたが、質量はエネルギーと等価であることが解り(→特殊相対性理論)、この法則は成り立たないことが確定した。が、初等化学などでは、相対論的効果が無視できることから現在でも使用されることもある。

力学的エネルギー保存則と運動量保存則

力学的エネルギー保存の法則はエネルギー保存則の一部であり、位置エネルギーと運動エネルギーの和は一定である。運動量保存の法則では完全弾性衝突以外の衝突の前後で物体の運動エネルギーは保存されない。これは衝突(非弾性衝突)の瞬間に運動エネルギーが音もしくは熱エネルギーに変化したり、物体自体を変形させる仕事に消費されてしまうからであり、物体が失ったエネルギーは外界に拡散することになる。

エネルギー保存則と時間

一般に物理量の保存則はわれわれが住む時空の対称性の現れである。エネルギー保存則は時間の並進対称性(時刻によって物理法則に変化が起きないこと)の現れである。従って、エネルギーの保存則が成り立たないとすれば、その時刻は時間的特異点となる。

エントロピーとエネルギーの「質」

またエネルギーの総量は一定でも全体のエントロピーが時間とともに増大することはある(減少することはないとされる)。つまりエントロピーには保存則はなく、系と外部を含めたエントロピーの総量は変化しうる(→熱力学第二法則)。その際エネルギーの"質"(エネルギーの取り出しやすさ、扱いやすさ)は低下して最終的には最も利用効率の悪い熱エネルギーに変化する傾向がある。エネルギー問題においてはエネルギーの"量"よりも"質"のほうが重要であり、エネルギー保存則があるからといって人類が利用できるエネルギー"量"が不変であることを保証するものではないことに注意すべきだろう。


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