「ちょい時間かけ過ぎか……」

 ノーザンは独り言を呟きながら、タインマウスの沼を駆け足で進んでいく。実は、ノーザンはあの少年が毒煙鳥を狙っていなかった事は知っていた。しかし、自分より弱い者を狙うのが趣味であり、そして生業なりわいでもあるから、口実にする元となるものは何でも良かったのだ。

 適当に相手が悪者となるように言いがかりを付け、そしてノーザンの気分次第で相手を抹殺する。しかし、今回はあまりにも相手を追い詰める為に時間を使いすぎた為にそれが仇となり、予想外の邪魔によって相手に逃げられてしまう。

「やっぱ気に食わん奴はとっとと殺すべきだったぜ……」

 再び独り言を呟いた。



 そして、誰かのいびきを道中で聞き取った。

「なんだ?」

 ノーザンは他人から奪ったボウガン、ブレイジングハートを構え、辺りを見渡す。そこにいたのは、先程自分が狙っていた毒煙鳥だ。消耗した体力を復活させる為に、睡眠を取っていた。

 1つの噂として、飛竜や鳥竜は身体に傷がついても、睡眠によって自然治癒力を高め、傷口を塞いでしまうと言う。このまま放置しておけば、今までのノーザンの攻撃も無駄になってしまう。

 しかし、ここで発見されたのは不運である。



「なんだここにいやがったのかぁ。まあいいや、どうせてめぇはここで死ぬんだし、悪く思うんじゃねえぞ?」

 ノーザンは爆発性のある徹甲榴弾を装填し、寝ているゲリョスの腹部に照準を合わせる。

「くたばれや糞怪鳥めが」

 冷たい一言と同時に、発射された。



 徹甲榴弾の爆発が決め手となり、毒煙鳥は仕留められた。周囲に血が散らばる中、ノーザンは毒煙鳥の頭を慎重に切り取った。希少価値の高い素材として知られているその頭部は、一部の強力な武器の素材にすらなる程である。

「さて、帰っかぁ」

 そして、ノーザンはタインマウスの沼を去った。

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