「て……めぇ! ふざけた真似しやがって……!」

 肥満の男は悔しそうにクリスを睨みつけながら、ゆっくりと引き下がっている。

 後退する理由は、ただ単に武器である拳銃を弾き飛ばされ、失ったと言うものだけでは無い。



――クリスは地面に落としていた丸棒を左手で拾い直し、片手剣の時のように構えたのだ……――



 時として恐ろしい一面をも見せ付けてくれるハンターではあるが、今のクリスはまさにそれと同じスタイルである。可愛らしい外見からは想像の出来ないオーラがその体勢から感じ取れる。

「私だってやられっぱなしじゃないから! 女だからって無礼なめた目で見ないで!」

 今にも丸棒で殴りかかってきそうなその構えに、怖がるように引き下がる男であるが、それでも言うべき事は言ってしまおうと、汚らしい口を動かし始める。

「そっかそっか……。でももう時期ここにもおれの仲間どもが来るぜ。せいぜい生き延びる事だな」



――それだけ言い残し、男は奥の扉の奥へと走り去ってしまう……――



「なんだあいつ。意外と弱そうだし、それに変なにおいしてきたし、口だけなんかうぜぇし」

 逃げ去っていく男を呆然と眺めながらスキッドは呟く。クリスの突然剥き出しになった凛凛しさには特に反応を見せなかったようである。

「そうだ、スキッド君、これ、使って! 後、さっきの人だけど、来るの、分かってたの」

 スキッドが呟いている間に、クリスはすっ飛んで行った黒い拳銃を拾い上げ、スキッドの隣に戻りながら手渡そうとする。そして、予知も出来ていた事を伝える。

「あ、サンキュ。ってか分かってた、とは?」

 拳銃を素直に礼を言いながら受け取り、そして最後にクリスの言った言葉に対し、その意味をスキッドは聞こうとする。

「えっと、なんか妙なにおいした訳だから、分かっちゃったの。言い方ちょっと下品だったかもしれないけど、んと、まあ、そゆ事!」

 クリスは女性が言うには少しだけ汚らしさを思わせるような雰囲気を漂わせてしまい、少し気まずい雰囲気になるも、それ以外の言い方が咄嗟には思いつかず、無理矢理その言い方で閉じる。

「いやいや全然下品じゃねっつうの。下品なのはあいつだろ? デブで性格悪くてお前の事襲おうとするし、あんな奴ぼろ糞言ってやれよ!」

 スキッドはクリスに否定を投げる事はせず、寧ろ逆にあれだけの卑猥ひわいな行為をクリスにしてきたような男なのだから、まるで男を庇う気になれなかったのだろう。

「そ、そうかな……?」

 自分の言い方に文句一つ付けず、逆に更なる言及を催促してくるスキッドに多少戸惑いながら、クリスは軽い笑みを浮かべてみせる。



*** ***



 スキッドとクリスのいる一室の外には、拳銃を持った中肉中背の男が三人立っており、今まさに一室に飛び込もうとしている最中だ。

「こん中にいるらしいなぁ。逃げ出した馬鹿が」

 顎に薄い髭を生やした男がどこからか聞き出したであろう情報を頼り、一室の中の様子を思い浮かべる。

「さっさと血祭りにあげてやるか?」

 タンクトップによって大きく曝け出された二の腕の内の左腕に大きな一本線の傷を携えた男が即行を投げかける。

「じっくりやるのも面白いかもな。どうせ向こう側は鍵閉められてんだしな」

 どこからその情報、そして自信を貰ったのだろうか、まるで全てが計算されているかのように、無造作に伸びた髪によって滅茶苦茶な印象を与える頭髪の男が拳銃の銃口を軽く上へと向けながら、口元を緩める。

「じゃ、潜入するぜ!」

 髭の男の掛け声と共に、残りの二人の拳銃を握る腕に力が入る。



――わざと内部の者に威圧感を与える為に、手で少しだけドアを開け……

――そして足でドアを蹴り飛ばし……

「てめぇらぁ!! 生きて帰れると思うんじゃねぇぞぉ!!」

 わざとらしく怒鳴り立てながら、銃口を床と平行に向け、室内へとその足を運んでいく。後ろの二人も同じく銃口を鋭く閃かせながら室内へと入る。

 そこにいるのは、突然武器を突きつけられ、恐怖の余り、何も言う事も、対抗する事も出来ない愚かな少年と、少女の姿。







――のはずが……――







「ってあれ? 誰もいねぇぞ? 確かにいるってあいつ言ってたんだけどなぁ……」

 目の前には確かに少年少女の姿があるはずだと言うのに、それが全く無いのだ。傷の男はその誰かから聞いたであろう情報に誤りがあるとして、目を細める。

 ただ、誰に聞いたかは少し気がかりになるが、やはり二人の姿が無いのである。

 しかし、この室内には木箱がいくつか詰まれており、そこに隠れていると言う可能性も無いと言う事はまずありえないだろう。

「逃げたっつうのはありえんはず……なんだ?」

 だが、奥のドア、即ち、男達が入ってきたドアとは別の出入り口には鍵がかけられており、確かに少年少女がいる事に間違いが無いと確信する滅茶苦茶な髪の男であるが、突然妙な違和感を覚える。





――プシューーー……――

――気体が噴出すような小さい音……





「あぁ? ただの発煙筒かなんかかぁ、まいいや、兎に角さっさと見つけるぞ。絶対こん中いるはずだ!」

 白い気体がゆっくりと、室内を覆い付くそうとするものの、拳銃で武装した男達がそれで引き下がるような真似は見せず、逆に目の前が真っ白に包まれる前にケリをつけてしまおうと、室内へと本格的に入り込み、三人はそれぞれ分かれながら、木箱の後ろ等へと回り込む。



――だが、いない……

――影に隠れているはずだが、やはりいない……

――まさか木箱の中に隠れているのかと言う推測も立ったが、開けられた形跡けいせきが無く、それは考えられず

――勿論、部屋から消えたと言う予測は、ドアの鍵と、男の包囲からしてまず考えられない



「どこいんだ? さっさと出てきた方が身の為だぞ」

 煙が徐々に部屋全体を覆い始め、目を開けているのが困難な状態になってきたのである。その為に焦りが見え始めているのか、少年少女に即座に出てくるようにと相手が素直に受け止めてくれないであろう要求を投げかける。

 だが、やはり煙が視界を遮っていく為、目で見て照準を合わせると言う拳銃の性能上、どうしても発煙と言う事態は男達にとっては非常に効率の悪いものだろう。だが、それは恐らくは少年少女側にとっても同じ事。

 その為だろう。多少焦りが見えているものの、男達が決して乱射をしないのは。条件が互いに同じだからこそ、冷静に対処するのが一番なのかもしれない。

「いいからさっさと出てこ――」





――パァン!





――どさっ……





―― 一発の銃声……ただそれだけだ……――





 一発の音と共に、滅茶苦茶な髪の男が声を途切れさせ、そのまま床へと崩れ落ちる。誰もいないはずの空間での余興が始まったのだろうか。

「おい! どうした! 何があっ――」





――パァン!





――再び始まった、一撃必殺ワードオブデス……――





 再び響いた音と共に、今度は髭の男が崩れ落ちる。最初にやられた男の安否を確認する間も無く、確認しようとした瞬間に未来を決定されてしまったのだ。

「っておい! どうなってんだよこりゃあ! そこかぁ!!」

 一瞬で二人の仲間を失い、残された腕の傷の男は銃声の響いた場所に銃口を向け、その発砲した犯人の姿も確認しないで手当たり次第と言った感じで、我武者羅がむしゃらに発砲を試みる。





――だが、無理があるだろ……

その拳銃は所詮一発ずつしか撃てず、次を撃つまでのが獲物の殺害を妨害する。
機関銃なら、線を描くようにいくらでも狙えるのだから、男の武器の選択肢は間違いだったに違いない。

事実、男のみじめな行為が望み通りになるはずも無く、
銃口から無理矢理押し飛ばされた弾丸は無駄に木造の床や木箱に突き刺さるだけだ。

いくら精神が極限状態に陥れられたからと言って、計算の無い照準に頼ってもまるで意味が無い。





「どこだぁ!! さっさと出て来ぉい!! じゃねぇと始末してやっぞ!!」

 数発発射した所で、敵対する相手が沈んでくれた訳では無く、そしてその姿すら発見出来ない。その残された男はまるで敵対する相手の命を見逃してやろうと言う気持ちが僅かに見せるかのような台詞を飛ばしながらも、拳銃を握る両手の力を緩めない。

 だが、既にその何者かは二人の人間を帰らぬ者にしてしまったのだ。素直に出てきた所でその後どうなるかは想像に苦しむ事は無いはずだ。

「どぉしたぁ!! さっさと出てきやが――」





――パァン!!





――遂に、最期の決断ファイナルブレットが、残された男にも下された……――

結局、犯人を突き止める余裕も与えられず、この世から追放された。
白い煙の世界で、何も理解出来ずままに床へと崩された男は何を思うのだろうか。

そして謎の銃弾を飛ばした者の正体は勿論……





「よっしゃ、意外と早く終わったぜ」

 室内は既に煙幕によって充満しているが、それでもここでの勝利を取った者は惑わされる事は無かった。



――三人を射殺した人物は、部屋の天井から降りてきたのである――



 天井が四角く開き、その下に詰まれた木箱の上に上手く足をかけ、そして詰まれた木箱を階段のように降り、床へと向かっていく。

「クリス、OKだぜ! ほら、手ぇ貸すから来いよ」

 降りてきたのはスキッドだった。どこから仕入れたのか、目にはゴーグルを装着しており、そして降りる際に手が塞がる事で落下事故に繋がってしまわないよう、腰に拳銃を差している訳だが、恐らくはその拳銃に今回の深い意味が隠されているに違いない。

「うん、ありがと」

 クリスはスキッドの後から天井から現れ、スキッドの伸ばした右手に掴まりながら、ゆっくりと木箱を伝って床へと降りていく。

 因みに、クリスもスキッドと同タイプのゴーグルを目元に装着している。

「んにしてもマジ良かったよなぁ、天井に逃げ穴あって」

 完全に二人とも床へと降りた後、スキッドは自分達が出てきた穴を見上げながら、この危機を回避出来た事に対して喜びを覚える。

「だけどさあ……なんか相手をこんな風にしちゃうのって……ちょっと痛むよね?」

 クリスはふと視界に血を流して口一つ聞けぬ状態と化した男達が入り、いくら自分達の生命を守る為の手段とは言え、一般社会では重罪として扱われる『殺人』を犯したのだから、平然とした様子ではいられなかった。

「まあそうだけどよ、こっちだって危うく殺されかけたんだぜ? ここじゃあちょっ……しゃあねえ事だって」

 スキッドもクリスに言われて納得はしたようではあるが、これでもスキッド達は極限状態に追い込まれたのである。元々敵対する相手も命を狙ってここに縛り付けていたのだから、スキッド達が本気になった所でばちは当たらないだろう。

 ただ、どのような理屈で行為に走ったかと言う部分についてはやや明確さが欠けているようにも見えるが。

「う、うん」

 クリスはそのどうしようも無い事態にただ平然とした返事を送る事しか出来なかった。

「よし、そんじゃあとりあえずこいつらの弾もらっとこっか。いつ狙われるか分からん訳だし……」

 返事を貰ったスキッドはゴーグルで煙から目を保護したままで、横たわっている男達のすぐ横に落ちている拳銃の弾倉取り出しマガジンリリースボタンを押して着脱式の弾倉マガジンを抜き取り、髪の色とほぼ同じ色の茶色いジャケットのポケットに差し込んだ。

「あ、ちょっと待って。私も一丁持たせて」

 スキッドは合計三丁あった拳銃の弾倉マガジンを全て自分の懐にしまいこんでいた為、クリスは自分の護身用の銃が無くなってしまうと考え、弾倉マガジンの抜かれた拳銃を一つ持ち上げながら、スキッドに静止を投げかける。

「あぁああ、そっかそっか、り」

 スキッドは恐らくは拳銃を有効に扱えるのは自分だけだと半ば自分勝手な考えを持っていた為に全ての弾薬を自分で管理しようとしていたらしいが、クリスに言われると、焦るように謝罪を投げかけながら、ポケットにしまっていた弾倉を一つ手渡した。

「ありがとう。でも……油断は出来ないよね?」

 受け取った弾倉を銃把グリップの下から押し込み、装填しながら、クリスはこの空間に漂っている重圧な空気を再度確認する。そして



――何故か拳銃を襟首の部分へとしまいこんだのだ……――



「確かに危険地帯だぜ、ここ。っつうかなんでお前そんなとこに銃隠すんだ? いざって時困んじゃね?」

 スキッドとクリスはようやく鍵のかかっていないドアへと足を運ぶが、スキッドはクリスの拳銃のしまう所が妙に気になってしまい、足を止めずに訊ねる。

「いや、私はどっちかって言ったらこっちの方が得意だから、銃の方はホントにいざって時の為。大丈夫だから」

 クリスは決して自分の行動に後悔や羞恥を覚える事は無く、自信有り気に左手に持った丸棒を右手の人差し指で差し、そして拳銃の方にも人差し指で差しながら説明を加える。

「そうだな、お前の場合なんか適当って感じしねえからなあ。ってかもうこれ外していいよな」

 きっとクリスには深い考えがあるだろうと読んだスキッドはそれ以上その部分に関わるような事はしなかった。そして、部屋を出る事によって発煙の世界から解放されるのだから、ゴーグルはもう不要であると、一度帽子を取り、そして上から乱暴に引き抜くようにゴーグルを外し、適当に床に放り投げ、帽子を被り直す。

「うん、じゃあ私も外すね」

 そしてクリスもゴーグルを頭の上へと軽く引っ張りながら外し、そして床に放置する。後頭部に回されていたゴムベルトによって一度ボリュームの小さいツインテールが持ち上がるが、やがて重力に従い、元の場所へと戻っていく。

「そんじゃ、注意して――」





――バン!!





――乱暴に蹴り開けられるドア――

スキッドの言葉を遮り、
蹴り飛ばした張本人が豪語する!

「てめぇらぁ!! 蜂の巣にしてや――」



拳銃を向け、元々筋肉質な体格を更に大きく見せようと宣言するも、
男の男の台詞もまた、途切れさせられる……。





――スキッドのすぐ左をクリスが神速で通り過ぎ……――





――左足による横蹴りで拳銃を蹴り飛ばし……

――驚きと痛みで、言葉を遮り……

――少女の水色の愛らしい瞳が、刃のように尖りだす……





◆ □ ◇ ■さあ、始めようか……。追悼忘れし烏合之衆、激昂と恫喝の舞踊ドント・ウィズドロー! ノンプリティ・カーニバル! アンド・ボレロ・ブレンディング・ザ・ヒューネラル■ ◇ □ ◆

――水色の瞳の尖りブライトエンプレスは、柳眉倒豎りゅうびとうじゅ警告音シグナルサイン

――左手の丸棒バインディングインパクトは、周章狼狽しゅうしょうろうばい敵へ縫い付けるプレゼント

――白のニーソックスに包まれた両脚ソード・イン・イノセントミュートは、笑比河清しょうひかせい象徴、そして機先の暗示スタンバイ・フォー・ザ・フューチャー
















£ おっと、悪い悪い、テンポ崩しちゃってゴメンね〜 今どこまで頑張ってたっけ〜 あの可愛い彼女クリス £



£ えっと、確かむさ苦しい男の拳銃、あの可愛い左足で蹴り飛ばした所だったね〜 £



£ んじゃ、そっから行くわよ〜ん あたしの正体? そんなの聞かないで〜 £



£ んじゃ、スタートアゲイン!! £
















 拳銃を蹴り飛ばし、そして一瞬だけ男の表情が引きり、同時に身体全体の動きが止まった男のその隙をクリスは見逃さなかった。

「はぁっ!!」



――短い気合と共に、丸棒が男の顔面に叩きつけられる!



「ぐえっ!!」

 真っ直ぐ、上から叩きつけるように、男の顔面を打った丸棒は男に悲鳴を飛ばさせ、そして後退させてくれる。



――次にクリスが発動させた身体の部位は左足である



本当は回し蹴りで鞭のように決めたかっただろう。
だが、ドアの両端の壁がそれを許可しない。
だからこそ、ここは顔面に向けての前蹴りが妥当である。

「えいっ!!」

――顔面目掛けて蹴りが遂に放たれる!――



 無言で引き下がる男に止めの一撃として、次に放ったものは、左手に持った得物である。



――前に踏み込み、今度こそ男を殴り倒す!――



「うわっ!!」

 男は部屋の外へと押し飛ばされるように背中から倒れこみ、そして反動をつけたクリス本人もそのまま部屋から身体が出る形となる。

 そして、倒れる男をその目で確認するクリスであるが、丸棒を振り被り、左手が下がった状態で両端に対する違和感は、緊張感をほぐしてはくれない。



―>左右には拳銃を静かに向けている男が一人ずつ待ち伏せしていたのだから

―>でもそのまま発砲したら向かい合う仲間に当たるだろ?

―>だからそいつらは一瞬だけ、一瞬だけ硬直してるのさ

―>まあ、クリスもそんな状況だから一瞬だけ固まった訳だが、彼女は違うよ?



足業の発動ライジングドラゴン □それだけがこの場の答えファイナルアンサー



「こい……」

『こいつ』と言わせる前に武器として充分な迫力を添えたクリスの足が男を押さえ付けるのだ。

素早く身体に回転スパイラルを加えて飛び上がり、両脚を180°に開く事で
両端にいる敵対する男の顔面ウィークポイントを蹴り飛ばす。

「うあっ!!」
「ぐあっ!!」

力量と、風を斬りながらしならせる両脚の威力は申し分無く、容赦の無い悲鳴を飛ばさせる。
床に戻る際の持ち上がるツインテールや、なびく白のパーカーがなんとも凛凛しい。

だが、着地と同時にクリスの中ではまだ満足感フルネスに満たされない障害が残っていた。
片方は一時的に倒れたが、もう片方は辛うじて立っていた。ただそれだけだが、それが一番の問題ペリルブルンダーだ。
両端を狙う過程で力の注ぎ方に間違いでも犯したのだろうか、気になる所。



■でも、それで終わりでは無いのが彼女クリス凄い所ローレル



即座に力の注ぎ方を誤った男へ向き直り、利き足では無い右足を男の頭部目掛けて横からぶっ飛ばすハイキック

「はぁっ!!」
「う゛あっ!!」

蹴りと壁の間に男の頭部を挟み込む形を作り、男とクリスの身長差をまるで気にさせないような
威力と滑らかさがこの空間でのいさましい戦闘シーンアニメーションを構築しているようだ。



▲今度こそ男の動きノイジーファングを停止させた訳だが……



▼△誰か忘れてるぞ! おい、大丈夫か〜!?



「……ってぇな、女のぶんざ――」

まともな蹴りディバインストライクを受けた男は実はまだ完全無欠な戦闘不能状態パーフェクトデストラクションに陥っていた訳では無かったのだ。

その証拠として、ゆっくりと起き上がり、立ち上がりながら、

それより……



■男の右手、よ〜く見てみなさいよ



危ない玩具キラーアント、握られてるよ。黒い鉄砲、っつうか拳銃だよ。

そう、その拳銃の銃口ブラッディソウルが今クリスに向けられているのだ。



■けど、男の願いは叶わない



クリスの相棒が逆に拳銃使って仕留めたんだからね。簡単な話。

クリスの背後から男が銃口マズルを向け、引き金トリガーを引く前に
その例の相棒がクリスの背後に素早く現れ、正確無比に男の頭部を撃ち抜いたのだ。

所で、その相棒とは……勿論、

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