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歩行者専用道路標識は、しばし道路標識にまつわる都市伝説の一つとして話題にあがることがある。

日本における道路標識のひとつである「歩行者専用を示す」には大人(ソフト帽を被った男性)と子供が手を繋いだ姿が描かれているが、そのデザインは子供を誘拐しようとしている瞬間を、親子と間違われてたまたま撮られた写真がモデルになっているという話である。(海外にも同内容のものが存在している)

派生として、「山道で出会った親子連れらしい男性と少女が、実は連続誘拐殺人犯とその被害者であった、と後から新聞あるいはテレビを見て気づいた」という類似のものが存在する。

しかし、日本においては道路標識のデザインは一切公募されていない。前述の通り、この標識のデザインは、ヨーロッパ各国における道路標識の国際統一規格である「国際連合道路標識」に属すもので、1968年にウィーンで開催された国連道路交通会議において採択された。日本のデザインもこの規格に準じたものである。つまり、「手をつなぐ親子」は日本固有のものではなく、ヨーロッパ各国で使用されているのである。以上の理由から、この都市伝説は事実無根である。

ドイツでは、男性と子供ではなく女性と子供というデザインになっている。これは、1970年ごろ、旧西ドイツのグスタフ・ハイネマン大統領が西ドイツ国内で使用されていた歩行者専用道路の標識のデザインに関して「歩行者専用道路標識は誘拐犯を連想させる」と問題視する発言をしたためである。この発言が、標識の男が誘拐犯ということが事実であるかのような内容にすりかわり、まことしやかに語られるようになった可能性はある。

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