Fascination N−D−File
恐怖の館

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夜、車を走らせていたある男性が黒猫の子供を轢き殺した。しかし、男性はその屍骸を気にしつつも、急いでいた為に再び夜道を走り始めた。そのまましばらく走り続けているとバックミラーに猛スピードで彼の車を追いかけてくる何者かの存在があるのだった。

男性はそれを不思議そうに見つめている内にバックミラーに映る物の姿はどんどん大きくなっていく。その正体は、子猫を口に銜えた大きな黒猫だったのだ。恐らく殺された子猫の親であろう。慌ててスピードメーターを確認するが、時速60キロは出ている。それなのにバックミラーに映る黒猫の姿はますます大きくなっていく。男性の乗る車との距離はどんどん縮まっていく。

男性は震えながらアクセルを踏み込んでスピードを上げるが、間に合わない。

黒猫が男性の車に追いついて横に並んだその時、男性は「ごめんなさい、ごめんなさい」と祈るように呟きながら恐る恐る黒猫の方を向いた。その時に本当の姿をはっきりと見たのだった。並走していたのはクロネコヤマトの宅急便だったのだ。
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