「どこなんだよ、その深緑竜しんりょくりゅうの巣って」

 アビスは今、アルトガの密林を歩き回っている。数時間前、アビスが今歩いている密林でアビスを除く3人のハンターが深緑竜の討伐をおこなっており、そして、そのメンバーの2人が深緑竜が留守にしていた巣に忍び込み、卵を奪おうとしていたのだ。

 アビスに現状を伝えにやって来た1人のハンターは奪取を止めようとしたが、2人は耳を貸さなかったらしい。

 そして、卵の重さに手間取っている間に巣の持ち主が戻ってきてしまい、予測されていた通り、深緑竜は我が子の命が篭った卵を狙われていた事に対して怒りを覚え、3人は地獄を見る事となったのだ。

 結果的に上手く逃げ切ったのは、この1人だけである。



「もうすぐです。あの洞穴の先に深緑竜の巣があります。あの2人の事だから……多分生きてるとは思いますけど……」

 案内役のハンターの表情が暗くなる。鉱石で作られた武具を纏っているが、やはり表情は暗い。

 仲間が過酷な状況下で生き延びていられるのか、それを不安に思っているのだ。

「んじゃあとりあえず巣に行って、戦うって事だな? あ、そうだ、一応名前教えてよ。君の名前と、その2人の名前」

 アビスはまだ名前を案内役のハンターから聞いていなかった為、それを訊ねる。



「うっかりしてました。僕はロジャー、そしてあの2人はジンとガロトって言います」

 ロジャーは、仲間の名前もアビスに教えた。

「ロジャーだね、分かったよ。んで巣はもうすぐ?」

 名前を知ったアビスは、今度は巣まで到着するのにどれだけ時間がかかるか、そこについて訊ねる。



「あそこです。あそこの穴から巣に行けます」

 ロジャーは、目の前に見えた空に指を差す。きっとそこに、深緑竜と、ロジャーの仲間がいるのだ。

「結構奥騒がしくないか?」

 アビスの徐々に近づいていく巣穴の奥から、巨体が地面を踏み鳴らしているような音と、武器と甲殻がぶつかり合うような音を聞き取り、ロジャーにそれを聞いた。

「あの2人がまだ生きてる証拠ですよ。早く行かないと!」

 2人はそのまま深緑竜の巣穴へと入っていく。

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