◆◆火之迦具土神ヒノカグツチの炎は何を見せる?◆◆

                 伊弉諾イザナギ伊弉冉イザナミの間に生まれたが、母親に殺された悲しい神だ。
                     天尾羽張アメノオハバリは畏怖すべき、十束剣とつかのつるぎである。
                        殺されたその瞬間に、何を思ったのだろうか。










ξξ Reborn from ancient chaos
σσ 昔のあの時から生まれ変わり、

ξξ flame armor came to rule our planet.
σσ 溶岩から生まれた巨石は、大地を侵略する。

ξξ The heavy roar is the realistic answer.
σσ 重厚なる咆哮は、嘘を写さず、

ξξ to his new plans of excitement.
σσ 灼熱地獄で揺らぐ、猛火の企みへと……

ξξ They've been cloned in the million fantasy
σσ 無限なる幻想世界のクローン化した猛火達……

                                 ξξ with DNA corrupted.
                                 σσ 腐敗した染色体……

                                 ξξ To conquer our infernal .
                                 σσ 我々の自由を支配する為……

                                 ξξ To impose a schizoid truth.
                                 σσ 精神分裂病の事実を引き渡す為……



   空間すらことごとく捻じ曲げる熱風を解き放つ厳然の溶岩カーストディインフェルノ
   お前が立っているその黒い岩肌スピネルガストも、元々は獄炎の溶解物ネイチャークリムゾンが冷えて進化したものなのだよ。

             ■■ ◆ ◆ 火山地帯では、逃がさないよ?/Waving Dimension ◆ ◆ ■■

   地面から突き上がるように伸びている岩石達グレイブナイツは、不動、無言を備えた魂の無い塊コウオーシブアーミーだ。
   しかし、深紅と言う名の亡霊サンジュミスト・レッドラインの支配する戦場では、立派な装飾品アクセサリーとしてはなを添えてくれるだろう。

             ■■ ◆ ◆ 岩の集団は、見れば見る程どこか不気味……/Indefinite Rock ◆ ◆ ■■





所で、君は信じる事が出来るのだろうか。人間と、飛竜の間に絆が生まれる事を。
自然の調和、自然の恵みへの感謝、自然からの鉄槌。
ハンター達はいつも、この自然の生み出した≪飛竜≫と言う名前を持つ脅威と戦い続けているが為に、
直接えんが築かれる可能性があると考えた事も無かったはずだ。

もしそれが、逃げられない状況の中で、絶対に壊してしまわなければいけない状態へ陥れられたら、人は悲しむはずだ。
それはきっと飛竜にも同じ事であると信じたい。
涙は単に眼を湿らせ、洗い流すだけの分泌液であるとは思わないで欲しい。
感情は、人間も飛竜もきっと変わらない。そう信じたい。信じて欲しい。信じるべきなのだ。



                    ▼▼△△ Eruption's mighty roar △△▼▼
                    ―≪≪ 強大な轟きを呼び覚ます噴火口 ≫≫―

                        思い出すのだろうか……
                              僅か数年前の話なのだから……
                                     想いは、通じるのだろうか……






――オマエノコトナドオボエテルモノカ!!――

きっと、心中で叫んでいる。
≪ヴォルテール≫と言う名を持つ鎧壁竜がいりゅうは人間に近寄る為に足を歩かせていたが、
そろそろ速度増加スピードアップをさせるべきだろう。

双角竜装備の男の叫び声がハッキリと言えば、耳障りだ。
走り込んで蹴り飛ばしてしまおうか。そんな提案が岩で頑丈に護られた頭部の中に収納されている脳で浮かんだ。



――フローリックの眼前に、巨体が近づいてくる様子が表され……――



「けっ! こいつ……!」

ヴォルテールの疾駆軌道ハードロックストレートから外れなければ、フローリックは大打撃オブテュースペインを背負う。
自分の想いが伝わらなかった事を悔やみながら、右へと走り、相手の道筋ラインから外れる。



―ズォン!!

―ズォン!!



その極大な足スクワッシュラインが地面とぶつかる度に地震をそのまま音で表現したような重音が放たれる。
巨体を完全に自由に操作する事が出来ないのが人間にとって唯一の救いであり、真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ突き進む。

ωω 減速処理ブレーキシステム……発動!!



――ニゲラレタカ……――

すぐに停止し、また標的を狙わなければいけない。
ヴォルテールは背後でかつての旧友を想いながらその乗った速度を落としていく。



両足を踏み鳴らしながら方向転換をするが……



「……」

的確にヴォルテールの背後を付けていた事であろう、フローリックは≪鬼神斬破刀≫を強く持ちながら、
身体の向きを変える事で精一杯になっていたヴォルテールの腹部へと入り込む。



(バカが……)

心中で何を考えているのだろうか、そのままフローリックは岩の腹部に狙いをつける。
両側に存在する両足が一種の脅威を覚えさせるが、油断する程無能では無い。

δδ 縦斬り!!

力を込め、胴体の動きを確保する為に僅かに脆いその岩の腹部スキンギャップを斬りつける。
効果はどれだけのものだったかを確認する余裕はそこには無い。

方向転換ポジションターンの為に動かしていた足は、今度は別の目的で動かされ始めたのだから。



εε ヴォルテールの左脚が後ろへと引かれる……

υυ もう方向転換は諦めたのだろうが……

κκ しかし、狩人が腹部を狙っていると言う事は……?

χχ 既に正面に立たれている事と同じ!!



それならば、もう方向を修正する必要は無い。前へとそのまま歩き出せば、巻き込めるに違いない。
ヴォルテールは迷わず事を始める。そして、終わらせようと企む。

θθ ただ踏み込む! それだけだ!/GROUND STEP! θθ



感付いていたフローリックも行動を開始している。
即座に思い切って前へと突き進み、腹部の下を潜り抜ける。

その脚は巨大故に、高さも備えている。だとすれば、両脚の間はある意味での安全地帯セーフティポイントとなる。
多少屈めば、腹部にぶつかる事も無い。



しかし、通り抜けても油断は不可能だ。

両脚の先に見えるのは、太く長く、そして突起物で物理的威力アンユージュアルストーンを無理矢理高めた後部のパーツだ。
一言で言えば、邪魔なのだ。

―κκ―容貌魁偉ようぼうかいい重拳轟波じゅうけんごうは/Corpulence Chariot―ζζ―

その太い尻尾ストーンスネークは外観に相応しい威力を誇ると考えられるが、フローリックはその尻尾に巻き込まれる事無く通り抜ける。
人間と比較すれば遥かに高い位置で固定されていたから、巻き込まれる心配も無かったのかもしれない。



「マジ危ねぇ野郎だ……ってうわっ!」

背後に響く足音エレクトリックエコーを聞きながらフローリックはそのまま一度ヴォルテールから距離を取ろうと駆け足で進み続けるが、
尻尾の動きに異変が発生した事に気付き、元々速めに走らせていた脚の速度を更に上げる。



―ガァアアン!!

岩の尻尾ヘビィトードは地面を垂直に叩き、衝音、崩音ミキシングブラッドを響かせる。
地面の欠片グラウンドシェルズが宙を舞い、周囲にはかなく散り落ちる。



「何しやがんだあいつ……!」

尻尾の攻撃範囲外へと無事に脱出したフローリックは鎧壁竜ヴォルテールの行動を鋭く捉えた。
あれだけ派手に動かれていては、迂闊に近寄る事が出来ないのだ。





―◆◆―≪≪  岩と硬骨の振り子ブランディッシュガーゴイル  ≫≫―◆◆―

背後にいる者は全員敵対者ヒューリーバグなのだ!
その巨大な尻尾ファットニードルで全てを吹き飛ばして、蹴散らしてくれよう!
縦に振るかバーティカルロット OR 横に振り回すハーフローテーションかは既に自由の世界なのだ!

―ブゥン!!

―ガァアン!!

ーガララァ……

尻尾は暴れ、地面を擦れ擦れで横振りにしたり、意図的に地面を叩き、背後からの侵入ハイドアウトキルの全てを拒否する。
運が良ければ背後から一気に抜ける事が出来るかもしれないが、命を優先にする人間なら、まずありえない話だ。





「おいバカかお前!? んなとこでそんな邪魔くせぇもん無理に振り回して何やってんだよ!?」

距離を取ったフローリックにとっては鎧壁竜の攻撃スペクタクルはただの無駄にしかならない。
挑発するかのように、鬼神斬破刀を肩に乗せながら大声で言い放って見せる。



「グォ……」

ヴォルテールは反応をしたのか、尻尾の動きをピタッと止める。
まるでその尻尾だけが時間の経過フィックストトラスを忘れたかのように宙で固定される。

οο さっさと向き直るか……

―■ 時間を無駄にした分を取り返せ……



その突起物で強化された尻尾をとことん左へと曲げ、とある目的の為に力を込める。
遠心力を上手く活用すれば、このような事だって出来るのだ。

ほら、この通りLook at this



ブゥン!!

尻尾に力を乗せ、そして自身は力強く跳躍する。
方向転換の為の力は尻尾に任せているのだから、尻尾を強く横に振る事によって向きを強引に変えられる。

ドォオン!!

地面に両足が落ちると同時に小規模な地震ベビーズシェイク振動音シェイクウェーブが飛ばされる。
向きを手っ取り早く変えるならば、身体全体を巧みに操るに限るのだ。



「なんも変わってねぇぜそんヅラ……」

正面を向いてきたヴォルテールの無機質な顔を見たフローリックは、あの頃と変わっていない雰囲気を掴み、
真正面を極力回避し、左脚へと狙いを定め、走り出す。



――タワケタコトヲ……――



ヴォルテールの黄色の眼バイオディテクターは、迫り来るハンターを止める為に急遽きゅうきょ脳へと攻撃指令ゲーム・プランを転送する。
その顔面はただ相手と張り合うだけの飾りだと勘違いはするなよ?

λλ 上から奇襲だ!

ρρ 下に映っているのが分かるぜ! 近寄っている狩人ハンターの姿がなあ!

π π 噛み砕いて見せてやろう!

――ヴォルテールの口が開かれる!――

――地面へと真っ直ぐ、落とされるフォールダウン!――

――狙いは、狩人ヒューマンなのだ!――



「危ねってんだろこのデカブツがよぉ!」

正面ばかりに気を取られているとは思えない。
真上にも気を配っていたフローリックは前方へ進む力に対して右側にも力を注ぎ、攻撃から逃れるべく、軌道ラインから反れた。



―ズゥウウン!!

―ガララァ……



まるで地面そのものを食料メシとしているかのように、顔面を地面へと埋め落とす。
顔面の硬度とどちらがまさっているのか、地面からは僅かに岩の欠片ハンガー・オンが飛び散った。

ヴォルテールは今自分が愚かな行為センスレスプレイに走っている事に気付いているだろうか。
まるで犬のように、顔面を地に付けているその格好を。
本来狙うべき対象は既にその埋めた顔面の近くにはいないのだ。



「これでも受けろぉ!!」

顔面をゆっくりと持ち上げているヴォルテールの左脚を狙い、フローリックは横に向かって太刀を薙ぎ払う。
だが、あのあまりにも巨大過ぎる胴体を支える脚なのだ。
その強度と硬度、密度メンテナンスボルテージは他の飛竜を圧倒する数値ステータスを誇り、軽々とその電撃を帯びた刃を防ぐ。

傷ぐらいならば付けられるが、本気で破壊しようとしてもまだまだその道程みちのりは遠いのだ。



――シツコイ……ヤツダ……――

柔軟性が利いているとは考え難い首を無理矢理に曲げ、足元の確認を行うヴォルテール。
自分の強度ブライトウォールに自信を抱いているのか、冷静な確認である。

だが、ヴォルテールの脳裏に一瞬だけとある影が、目の前の狩人と重なった。



κχ なぜ、こんな時に…… χκ



戦闘の妨げマイナスレイジネス集中力の低下ターディクリティシズムに結びつく要素はここでは全て削ぎ落とさなければいけない。
足元の虫をまずは強引に排除する戦法を取ろう。
相手がどうなろうが、こちらには無関係なのだ。





―◆◆―≪≪  熱気と霧の子守唄ホワイトララバイ・ヴィッサラー  ≫≫―◆◆―

放出するには時間を犠牲にしなければいけない。
腹部の甲殻の隙間に張り巡らされた毒腺だって、すぐには効果を出してはくれない。

毒の噴出進路トキシックグランドを確保する為に、一度腹部を大きく伸ばさなければいけないのだが、
それは同時に大きな隙ともなってしまうものだ。



(あぁ? これって……)

虫の知らせデンジャーサインを感じたフローリックは腹部の付近にいるのは危険であると察知し、
左部の翼の外へと素早く行動を開始する。

妙に引き伸ばされる腹部には見覚えがあり、決断は正しいものと化するだろう。



ππ 甲殻の開閉準備オープン・ザ・セキュリティー…… χχ

θθ 毒素の進路確保ポイズンギフト・マックス…… ψψ

ρρ 噴霧の最終確認アイウィル・スリープ…… οο

準備が整い、いざ、発動テイクオフ!!



――白い気体ララバイソングが周囲に舞い上がる!!――





―ブシュウウゥウウウ……

気体が噴き出す音が随分と小さく響くが、フローリックはその白い気体を嫌々しく眺めている。

「やっぱこれか……。吸っちまったら一発だぞマジ……」

その白い気体が意味するものをまるで全て理解しているかのように、
距離を取ったまま、その場で待機している。
まるで近づきたくても近づけない複雑なやり場に駆られているようだ。





――■ 所で、この気体の成分、知ってる? ◆― 教えてやるよ、この僕ちゃんがねw ――

まあ簡単だよ。この白い気体にはね、生物の脳の動きを著しく低下させる成分があるのよ。
夜になると脳も疲れてるから、夜中になると勝手に眠くなるでしょ?
それは脳が疲れてるから、そうなってしまうの。この成分は脳のエネルギーを吸い取っちゃうの。

まあ仮に吸っちゃったとしても、外部から結構な強い衝撃を受ければすぐに目覚めるけど、
彼は今一人でしょ? 誰が起こしてくれるの? オトモアイルーでもいればいいけど、
そんな仲間も今はいないの。だから、寝たらもう終わりね。

地面で寝てる間にあの巨大な足に踏み潰されてまず助からないね。
考えて分かるでしょ?

ん? 何? じゃあなんであの鎧壁竜は眠らないかって?
あ、こんな説明してる間にもうあの霧消えたみたいだからもう説明やめるね。

んじゃ、バイバーイw





βσε 話は戻ってリターン・トゥー・ストーリー……

きっと中心濃度ヴェノムデンスティーは高いのだろうが、拡散するに従い色も薄くなっていく。
中心で相手に浴びせなければ昏倒させる事は出来ないのかもしれない。

ならば、その蝕む力の抜けた外から翼に攻撃をする事が出来ればきっと……!



「けっ! 小細工さいくばっかしやがって……!」

毒の成分が届かないギリギリの場所から、左の翼を狙って太刀を振り下ろす。
脚部に比べると妙に歯応えの感じるものがあったが、一撃程度では機能を失わせる事は無理だ。

霧の放出を終わらせたヴォルテールはしつこく走る左の翼の違和感を早く振り解くべく、
次の行動へと入る。



――だが……――



αα またである。敵対者が一瞬幼い頃の姿に見えたのは αα

あまりにもしつこい幻覚ではあるが、やはり今の状況から考えると邪魔である。
振り払え。振り払え……。さっさと、潰せ……。



ヴォルテールはもう向かい合おうとは考えなかった。
自分自身の重量イリガルスタンドが武器として成立している事を考えれば、別の対策を取っても不足は無い。
身体に力を込めるのにそう時間は必要としない。



――γγ さあ、燃料を送り届けよう/LAVA FUEL γγ――

◆◆ まずは両脚に……

◆◇ 両翼にも送らなければ……

◇◇ 最後は全身にも力を込めなければ……



「なんか不味まじぃなぁ……」

身体の動きが全体的に下に向かって動いていた事に感付いたフローリックは
一度太刀による斬撃を中断させ、回避行動へと頭を切り替える。



――ヴォルテールは自分の巨体を宙へと持ち上げる

―≫ 翼による風力ジャイアントウィングと……

  ―≫ 巨体を普段から支えている脚力で……



―ドォオン!!

翼が地面を叩き、その巨体には似つかない高度にヴォルテールは一時的に存在していた。
滞空等出来るはずも無く、数秒と経たない内に地面は揺れる。

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