―◆◆― 巨人達を描出した物語を知ってるか? ―◆◆―
知らないと言うならば、それは無知の証であり、過去の偉人に対する無礼行為だ。
世界を変えた人間を記憶に留めない貴様は、この世界の恥だ。すぐに考え直せ。
ここでは、無知なる愚者も、既知なる賢人も両方対象にした話をここで聞かせてやるか。
但し、簡潔に、だからな?
巨体を連想するだけで、光景を思い浮かべる事が可能となる。
元々パンタグリュエルは
『ガルガンチュア年代記』、この
しかし、実はこれ、現代社会を
もしかしたら、その原因がここで解明されるのかもしれない。
何故なら、その巨人達に
それは
そもそも人間を超えている力を持つ者同士がぶつかり合う事自体、
時と場所とそこに立つ飛竜は、禁止と言う名の金網を引き千切り、結界で保護された
一体何が
単刀直入に言えば、鎧壁竜同士が争っているのだよ。
白と黒の甲殻を持った奴らがね。
閑談はそろそろ中止にしようか?
■■
〜〜ガルガンチュア & パンタグリュエル〜〜
――Heavy Armors Are Hardy Build Really?――
クルーガーとユミルとは別の
こいつらには人間とは決定的に異なる特性を所持しているのが非常に羨ましい所である。
何故なら、溶岩に落下した所で、傷らしい傷を負う事が無いからだ。そこからまた人間以上に激しい展開がきっと、連想されるのだ。
『ウ゛ォオ゛オ゛ァアアア゛アア゛アアア!!!』
―◆ ββ
―ドォオン!!
『ウ゛ァアウ゛ゥウ゛ウ……』
当然のように、それは致命傷にすらなっていない。
ミケランジェロは多少後退させられたものの、まるで攻撃が染みていなかったかのように、あっさりと体勢を整える。
それでも力強い突進を受けて、黙っているはずが無いだろう。
γγ 後方には棘の付いた太い尻尾があったな……
まさに今それを使う機会であるとミケランジェロはその黄色い眼を尖らせる。
両脚を上手く動作させ、そして尻尾に遠心力を加えれば相手を狙い打つ事が出来るのだ。
α ― 重量と硬度を携えた尻尾は……
β ― 速度を上げて対象を狙う!!
―◆◆―≪≪
原種の尻尾と比較すると、明らかに黒く塗られているのが分かるはずだ。
その黒塗りと化した尻尾に反動を付けて振り回せば相手はどうなるだろうか?
純粋に、打撃を与えられるだろう。飛竜が相手でも、何かしらの打撃は加える事が出来るだろう。
狙いは……
▼▼▼▼
ヴォルテールの胴体だ!
▲▲▲▲
―ゴォン!!
『グアウアアァアア!!』
ヴォルテールは多少ではあるが、怯んでしまう。
そのよろめきによって両足が大きく踏み鳴らされ、地面も激しく揺れている。
もし
『グアア゛ァアア゛オ゛ウウ!!』
人間で言う
――身体の向きも正面に対して、僅かに横にずれているように見えるが……――
ミケランジェロはきっとわざとそのようにしていたのだ。
巨体そのものが武器になる事を知っていたが為に、動きを止まったヴォルテールに追い討ちをかけるのだ。
―◆◆―≪≪
実際に発動した時、ミケランジェロはどうなるか。
まるで側面を使うかのような体当たりを、
放った自身がそのまま
―ガァォオン!!!
――胴体と胴体がぶつかり合った……――
『グォオォオ!!』
二度連続で攻撃を受けたヴォルテールは、ミケランジェロの力に素直に押されてしまい、
後退を続けながらまるで焦っているかのような鳴き声を張り上げる。
それは
――地面が踏み鳴らされる……
――背後に待つもの、それは……
『グアァア……』
ヴォルテールも黙っている訳には行かず、何か手段を相手に提供してやろうと、両足に力を入れる。
何をするにも、まずは直接動かなければ、どうしようも無いのだから。
早く仕返しをしなければ、気が済まな――
―ガラッ……
υε 岩が軽く崩れるような音が……
突然身体の位置が下がるような錯覚を覚える。
まさか、地面が下がり始めたのだろうか? しかし、相手の黒い鎧壁竜の
いや、相手が変わっていないからこそ、自分の視点で地面が下がっているように見えているのだ。
そして、これが指し示す意味と言うものは……
β◆β 足元が崩れた、そう表現すべきである/GROUND COLLAPSE β◆β
地面がヴォルテールの
それによって地面が崩壊し、真下に待ち構える
下半身は
『グアォアァォオオ!!』
その驚きを表現したかのような雄叫びは、熱による激痛によって
突然地面が破れた事に対して、だと考えられる。
――ミケランジェロもその光景には呆然とするが……――
だが、相手が溶岩へ落下しようが、それは情けをかける為の理由にはならない。
自分より低い視線に存在する相手に更なる追撃を仕掛ける事が出来れば、相手より優位な立ち位置を奪い取れるのだ。
それを狙い、まるで上から見下ろすかのように、ミケランジェロは頭部を持ち上げ始める。
χχ 溶岩に沈む
―◆ο
―◇ρ そう言えば、鎧壁竜に備わっている特性を覚えているだろうか?
―◆τ 体内の熱を放出する為に……
身体はまだ溶岩に埋まっているが、きっとこのピンチをチャンスへと変える手段を持っているのだろう。
徐々に迫る
岩作りの口がゆっくりと開く。内部が光る。
この一連の光景には意味が植え付けられている。
ただ、光るだけでは無い。そもそも飛竜の口が光る場合は、必ずロクでも無い事が起こるのだ。
そう、
―▼▼―
―コノママ……シズメテクレヨウ!!―
それを証明する時が、まさに今なのだ。今を逃していつ実行する?
ττ
さて、ミケランジェロは何を下そうと企むのか。
それが今見ていればすぐに分か――
―ブアァアオォァアアァアアアアア!!!!!
―ゴァアァアアアアァアアアアァア!!!!!
■■ 風の流れる強い音と
■■ 渦を作り出すような音が耳障りに響く
―◆◆―≪≪
ヴォルテールの
体内に散々蓄積しておいた熱を発散させる為に、このように目の前の怪物目掛けて、気体として発射させるとは。
気体とは言っても当然のように
相手を
発射対象となった
――■δδ■
――■ππ■
――まるで、
――■ββ■ ミケランジェロ自身は、その圧倒感に押され、身体も後方へと
ψψ 相手の動きが止まった。これは確実なチャンスとなる
ξξ 一度放出を停止させても問題は無いだろう
しかし、ヴォルテールの立ち場所は溶岩の内部だ。
まずはここから出なければいけない。
ゆっくり上がった所で、眼を閉じて僅かな間硬直しているミケランジェロから仕返しを受けるのがオチだ。
もうここはとことん過激に進んだ所で、この火山地帯は
―アイツノオモイノタメニモ……マケラレルカ!!―
ヴォルテールの中に宿る一つの想いが、その巨体を大きく突き動かす。
まるで後ろから余りにも強過ぎる力で押されたかのように、その巨体が溶岩から跳び上がる。
―ガラララァア!!!
地面の岩を削り壊しながら、無理矢理その
まるで空中から
元々ミケランジェロより下部にいたとは言え、飛び掛るように襲いかかるとはなかなかの
『ガァアア゛ウ゛アアア!!』
熱線を受け、そして自分とほぼ同じ質量を誇る相手から体当たりを受け、多少悲痛に染まった鳴き声を飛ばす。
ミケランジェロも組織に属する特別強力な能力を誇る飛竜であるとは言え、弱みを見せる時はきっとあるのだ。
それでもそのまま倒れ込まずに両足を踏み鳴らす姿は流石は組織の一員だ。
――黒い竜の両眼がまた黄色く
一瞬だけ形勢逆転でもしたかのように、連続で攻撃を嗾けてきたヴォルテールに再び憎悪の魂を燃やしたはずだ。
それに、何かを伝えるかのように迫ってきた以上は、ミケランジェロも何か
σσ
真正面に立つ白い鎧に向かって、純粋にぶつかってみるのも面白い。
手の込んだ
―ムカシノユウジョウナド……スグニワスレタラドウダ!?―
走るのは、当然のように自身の体重の
◆π
『グアァ″オウ!!』
ヴォルテールは再び後ろへと押され、思わず雄叫びを悲鳴のように飛ばしてしまう。
押し合い程度ではミケランジェロには負ける訳には行くまいと、両足に力を入れている。
――
再度溶岩へと突き落としてやろうと、まるで笑い出したかのようにその黒い岩のような口が開き出す。
熱線を放つ為では無い。単に感情を表現しているだけである。
ヴォルテールの背後には大きく開いた溶岩が残っている。
そこから立ち上がる独特の煙や熱気も健在だ。再び行動を制約すれば、また立場が有利となる。
――まあ、熱線による仕返しは恐ろしいが……――
εε 兎に角、今は押し込んでやろうか!!
οο ヴォルテールは
―コノヨハツヨイヤツダケガノコルノダ!!―
ヴォルテールに近寄る姿は、巨体の迫力に相応しい
飛竜と人間の間に友情関係が芽生える事は無いと証明する為に、ミケランジェロは牙を剥く。
―チカラダケデシハイデキルモノカ!!―
ヴォルテールはもう正気に戻っているのだ。
既に
だからこそ、組織の下で動くこの黒い鎧壁竜だけは見逃せなかったのだ。
野生とも異なり、人間を襲う経緯も確実に、全く別のものへと変貌しているに違いない。
このまま溶岩へと押し戻されてしまうのか。
いや、それを許すほど、ヴォルテールも実は弱くは無いのだ。
■■ ここで尻尾に頼るべきだろう……
□□ さっきミケランジェロから受けたから、仕返しと行こうか……
―◆◆―≪≪
ヴォルテールの後部に備わった刺の生えて、尚且つ脂肪分でも蓄積させたかのような尻尾に遠心力を加える。
近寄ってくる黒い敵対者には、非常に重たい一撃を一度提供するのも良い手段だ。
相手の体格を考えれば効果が薄い攻撃かもしれないが、何もしないよりはマシだ。
―◆φφ ヴォルテールの巨体が脚から捻じれる……
―◆θθ 同時に尻尾も激しく振られ……
―ドォオン!!
『グオォオ!』
胴体の側面に重たい尻尾の直撃を受けたミケランジェロは攻撃が効いたのか、一瞬だけ動きを止める。
だがそれは
尻尾で叩き付けてきたヴォルテールが憎かった事だ。
単に
人間とは大きく異なり、
――黒い翼に力が注入されていく……――
ミケランジェロに備わった
これはもう少し重量の低い飛竜であれば、きっと
――◆ φδ 巨体が宙に浮かぶ / Flying Body
だがそれは継続的に進ませる事は不可能だ。構造や質量が元々
しかし、そうやって身体を持ち上げる事自体がヴォルテールにとって何を提供するかを示しているようなものだ。
――だが、どう考えても
つまり、着地すると同時にヴォルテールに覆い
だとしたらこの行為の有効性の低さが疑われる。
腹部から何か煙が出ているのは気になるが、いちいち跳ぶ必要性は存在したのか。
『グォ……』
ヴォルテールの両眼にまるで疑問符でも付け加えたかのような感情が映り出す。
自分の体長よりも僅かに上の部分にミケランジェロの足が映るものの、明らかに押し潰す事が目的では無い様子だ。
それでも腹部から立ち上がっている
――感付いたのか、何歩か
元からその重量が非常にある為に、俊敏には下がれない。
しかし、その黒い煙はただの煙だとは思えなかったのだ。
やがて、ミケランジェロの足が地面に降りる時がやってきた……
―υυ― 異変は同時に発生するものだ ―υυ―
―◆◆―≪≪
―ドォオン!!
地面に一つの
同時に、
δσω 腹部は腹部でも、その黒煙は一つの合図であったのだ ωσδ
ρκπ 今度は光り出し、遂に腹部が
―ブァオアァアアア!!!
―ボアァアアアアア!!!
ミケランジェロの足元は一瞬にして
もしここに
『グォオ!!』
ヴォルテールも、その着地時の震音に惑わされず、周辺へと小規模の爆音と共に放たれる炎の風を無視して
そのままミケランジェロへと突き進む。
そのまま動かないミケランジェロを狙うには、絶好のタイミングだ。
―モットカゲキニイカナイカ?―
ミケランジェロは相手を潰す為に飛び上がった訳では無いようだ。
何故か、地面そのものもミケランジェロに共鳴するかのように、変化が訪れていた。
―ビキッビキッ……
それは静かながら、地面に亀裂が入っていく音だ。
原因は、
その地面は
―ゴゴゴォオオ!!!
―ザザァアアア!!
―ズオォオオオオン!!!
地面が割れていく音と、その割れた塊の集団が溶岩へと落下する音が鳴り響く。
最後には、ミケランジェロ自身が溶岩へと落下する
―ββ― まさに、
一度大きな
周囲の溶岩が即座にその
これによって、まさに
しかし、やはり溶岩に浸かったと言うのにやけに冷静なのが、このミケランジェロだ。
―ナニガシタインダ? コイツハ―
ヴォルテールはそんな疑問系を
やっている事がよく分からないからこそ、相手に隙を与えてはいけないものだ。
―オロカダナ……キサマハ……―
ミケランジェロは一向に自分の立場に恐れ
奴が求めている
――突然、頭部を溶岩へと埋めていく……――
求めるものは相手を滅ぼす事に限られた事では無いのだろうか。
溶岩の中にその欲する
とうとう背中までもが溶岩の中に消えていってしまう。やはり、
もし溶岩を地面として例えれば、それは土竜≪もぐら≫にも見えるのがまた面白い。
当然の話でありながら、ミケランジェロは
――◆◆ 一瞬だけ、溶岩の中から気泡が浮き出てくるが……
『グオォ……』
やはりこのまま立ち止っているのかもどうかと考えたのか、やや早いテンポで後方へと下がる。
――時は、油断を認めない……――
―ゴォオオオオ……
■ε 溶岩の中から響く、空気の揺れる
■υ 溶岩が波打っている……そして、徐々に強くなっていく…… υ■
■σ ヴォルテールも、黙っていられるのだろうか? σ■
丁度ミケランジェロが消えた地帯が一向に穏やかになる様子は無い。
これだけ騒がしくなっているのだから、もうこの後の事態の予測には困らない。
―ゴゴォオオオオ……
溶岩内部からの勢いはもっと強くなっていく。
耳障りになる程では無いが、音量が高まっていけば、やがて恐怖へと変換されていくだろう。
そこまで行かなくても、一種の不安程度は感じるはずだ。
後退を続けるヴォルテールであるが、時はやってくる……
―ゴォオ……
―― 一度、音が鳴り止んだ……――
――波の揺れは止まっていないが……――
―ブゥウウ″ュウ″ウィ″イ″イイイ″イィ″イ″イイン!!!!!
―グアァアラララァアァアアラアララァ!!!!
◆ρ 地面を崩す!! ρ◆χ GROUND BREAK!! χ◆
◆ρ 溶岩が噴き上がる!! ρ◆χ LAVA DANCING!! χ◆
――とある状況が現れたのだ……。これ一つで、世界が変わる……――
―◆◆―≪≪
◆ ψ いつかは太陽をも操ってやるか……
il sole fu mangiato il dragone nero. β ◆
▲▲もっと過激に行くぜ? 付き合えよそこの小僧?▲▲
◆ ψ オレにとってはこいつらは舎弟だぜ?
i miei favoriti sono esistenza obbediente. β ◆
δδδ
κ1κ
ι5ι
■□■□■ これぞ
◆ ψ 折角だから、灼熱地獄を満喫しようぜ?
perche non si tuffa a lavico? β ◆
ξξξ
α1α
γ5γ
θ7θ
■□■□■
▲▼ 溶岩と地面の扱いの、この差は一体何なのだ? ▼▲
いや、寧ろこの貧富の差こそが、異様な
とりあえず、炎が地面を突き破ったその後の光景を見てみるとしようか……
『グオォオオァアアア!!』
これはヴォルテールの鳴き声であるが、決して雄叫びでは無い。
人間で言う、驚愕を意味したものである。
割れた地面から力強く
ただ包み込むだけでは無い。炎が地面を
地面は今散々説明した通り、割れて、そして溶岩に支配されていく。
―ゴォオオ!!
―ドォオオォオオォン!!
ヴォルテールはとうとう溶岩の中へと引き摺り込まれてしまう。これで立場はミケランジェロとまるで一緒だ。
因みに、今響いた音は地面が割れていく音と、溶岩へと落下した時の音だ。
そして、もう一つ補足させてもらうと、実はまだミケランジェロは
――θ しかし、解放される時が今迫る…… θ――
周辺を過激に破壊され、まるで飛竜だけの世界にしたかのようなその真っ赤な溶岩の世界。
地面が破壊された後、そして、鎧壁竜が落下した後は妙に寂しさと虚しさが風に乗ってやって来る。
溶岩に落としてそれで終わりなの? と思われそうであるが、まさに、迫るものがあるのだ。
―ブシャァアアアア……
■ ◇ 溶岩の中から、黒い何かが突き出てくる…… / BLACK SOUL!! ◇ ■
覆い被さっていた多量の溶岩が重力に引っ張られながら下へと流れ落ちる。
赤い世界の間から徐々に姿を見せてくる黒い色が非常に禍々しい。
黒い色を被った宿敵をよく見れば、その流れ落ちる溶岩の間から特徴的なあの
まるで
もう一つ
――σσ 溶岩が流れ終わっても、
――ββ 実は、とある
―コノテイドデヤラレルカ!!―
溶岩しか足場の無い状態のヴォルテールだが、それで溶岩にやられる程この種族は貧弱では無いのだ。
この灼熱の溶岩の中で戦う方がより飛竜らしく、そして飛竜でしか不可能な戦いが出来るに違いない。
まるでそれを心で燃やすかのように、ヴォルテールは見事に溶岩の中を泳ぐように進み、ミケランジェロと向かい合う。
距離は近くは無いのだが、わざわざ密着しなくても相手を攻撃する手段は存在するのだ。
この2頭は【鎧壁竜】と呼ばれる種族なのだ。
普通なら燃え尽きてしまうはずであるが、この飛竜の甲殻は異常な程に熱耐性があるのだ。
しかし、今はここで飛竜科学を説明している場合では無い。
そして、ここは学習施設でも無い。
――今なら、再び放てるはずだ……――
同じ鎧壁竜であっても、必ずどちらかがこの地で果てる。
少なくとも自分自身がその末路を辿らないように、口を広げる。
溶岩を真下に配置しながら、ヴォルテールは全神経を
きっと、ミケランジェロは何をされるのか悟っているはずだ。
周囲が溶岩だらけとなったこの空間で、ヴォルテールは実行を開始する。
心で思うだけでは無く、実際に
―◆◆―≪≪
体内の熱を放出すると言うその
まさに
――ωβ 今、放射が開始されるのだが……
―ο◆実は、ミケランジェロも同じタイミングで……◆ο―
空間の良質な条件は、
一方的な補強効果は保障されない。
逆にミケランジェロの方が蓄積された力は多いはずだ。長い間溶岩に、しかも潜っていたのだから。
圧倒的な熱量を保存したその肉体は、もう限界を超えているのだろう。
――だからこそ……――
―ρ―
―κ― 砲撃の開始は、
―θ― とりあえず、まずは
―◆◆―≪≪
熱を放出すると言っても、視覚的な意味で考えれば優しいとはまず言えない。
殆どそれは、爆撃指令に相応しい壊滅的打撃を
それが、今、放たれているのだ……
―ゴォオオオォオオ!!!!
―◆αα 真っ赤に染まった
α KEEPING TIME SCREAM!! α
―◇ββ
β REPAINT WATERSPOUT!! β
―◆γγ 遂には……溶岩すらもその風で巻き上げ、
γ GIGA - HIGH FEVER!! γ
―◇δδ もう
δ LAVA TEMPEST!! δ
溶岩を巻き上げながら放たれるその熱線は恐らくは通常の鎧壁竜なら見せ付ける事は無い可能性がある。
最も、
今ここで実行された、ミケランジェロの
ただの熱を凝縮したものでは飽き足らず、溶岩をも味方に付けているのだから、それは納得出来る話である。
そして、巻き上げられている溶岩側は、
――同時に2体が放射したと言う事実は覚えているだろうか?――
これを考えると、その2つの熱線は今、ぶつかり合っていると言う計算となるだろう。
ヴォルテールが放つ熱線も劣っていないものと信じたいものだ。
ヴォルテールの熱線も、人間程度ならば軽々と包み込み、そしてその紅い炎によって消し炭に出来る程の威力と迫力を備えている。
事実上、この光景をはっきりと言い表すとすれば……
■■【
VS
■■【
χχχ さてと、残されているのは人間2人であるが…… / HUMAN POWERS χχχ
飛竜達だけの戦場では無いのがこの火山地帯だ。
連中の攻撃が届かない場所で、今は黄土色の武具を
「ふふ、なかなか楽しませてくれるじゃないかクルーガー」
両手で持たれているのは、
「強がってんじゃねえよユミル。ただそん武器が無駄に性能いいだけじゃねえかよ」
黄土色の武具を纏っているクルーガーは、鬼神斬破刀を持ちながら右脚を引いた体勢を持ち、
相変わらず強がり続けるユミルに向かって言い捨てるように睨み付ける。
同じく、彼の武器も刃の部分がいくらか欠けている。
「それはお互い様だろう? それと、一個訊きたい事があるんだけど」
ユミルの武器も組織から特別な処理を施されているだろうが、クルーガーの得物だって、飛竜の力を受け取っているのだ。
それを軽く言った後、ユミルは一時的に戦闘体勢を崩して一つの質問を投げかけた。
「なんだいきなし。さっきから昔話ばっかしてたくせによぉ」
クルーガーもその相手の態度には疑問を覚える事だっただろう。
きっと戦っている最中に互いに言いたい事を散々吐き続けていたのだろうが、
わざわざ相手に集中力を施すように仕向けてくる辺り、よほど重要な内容なのか、それとももっと別の内容か……
「シンディとは、ちゃんと連絡取り合ってるのかい?