―◆◆― 巨人達を描出した物語を知ってるか? ―◆◆―

知らないと言うならば、それは無知の証であり、過去の偉人に対する無礼行為だ。
世界を変えた人間を記憶に留めない貴様は、この世界の恥だ。すぐに考え直せ。
ここでは、無知なる愚者も、既知なる賢人も両方対象にした話をここで聞かせてやるか。

但し、簡潔に、だからな?

巨人王ガルガンチュアその子供パンタグリュエル、着目するのはその2人だけである。
巨体を連想するだけで、光景を思い浮かべる事が可能となる。
元々パンタグリュエルは聖史劇の小悪魔アパスルズデビルであったらしいが、巨人の一種に任命されたのは喜びの大きな話だ。
『ガルガンチュア年代記』、この著者不明の書物アンノウン・データから2体が生まれたらしい。
しかし、実はこれ、現代社会を諷刺ふうしする内容であったが為に、禁書として設定されているらしい。

もしかしたら、その原因がここで解明されるのかもしれない。
何故なら、その巨人達にふんした連中がこの火山内に今存在するのだから、それはそれで面白い話だ。

白い甲殻ディープカラーを身体に貼り付けた巨人ひりゅうと、黒い甲殻ブラックボディを身体に貼り付けた巨人ひりゅうがぶつかり合えば、
それは神の領域ロードフォースに達する衝撃波を周囲に撒き散らす事になるかもしれない。
そもそも人間を超えている力を持つ者同士がぶつかり合う事自体、禁制情景タブーパストとして歴史に刻まれる危険すらある。

時と場所とそこに立つ飛竜は、禁止と言う名の金網を引き千切り、結界で保護された人間社会ヒューマンソシエティー
凶悪な歴史フィアフルレコードを強引に植え付けて、去っていく。
一体何が火山地帯カーマインブラストで起きているのか、見てやろうとは思わないかい?



単刀直入に言えば、鎧壁竜同士が争っているのだよ。
白と黒の甲殻を持った奴らがね。
閑談はそろそろ中止にしようか?








                        ■■ 鎧壁竜と黒の鎧壁竜インパクトドライブ / その体躯から放たれる力の源は □□
                             〜〜ガルガンチュア  パンタグリュエル〜〜
                           ――Heavy Armors Are Hardy Build Really?――








クルーガーとユミルとは別の遠方地帯バトルフィールドで、人間と比較するにはあまりにもその差があり過ぎる体格を誇る者が2体、存在した。
こいつらには人間とは決定的に異なる特性を所持しているのが非常に羨ましい所である。
何故なら、溶岩に落下した所で、傷らしい傷を負う事が無いからだ。そこからまた人間以上に激しい展開がきっと、連想されるのだ。



ウ゛ォオ゛オ゛ァアアア゛アア゛アアア!!!

白の甲殻ヴォルテールは真正面に向かい合っている黒の甲殻ミケランジェロを目掛けてその巨体を突撃させる。
人間相手リトルソルジャーならばそれだけで終焉デッドタイムを迎えられるような攻撃も、同じ飛竜同士ならば、そうも行かない。

―◆ ββ 白い巨体ヴォルテール黒の体躯ミケランジェロ相手に衝撃音を響かせる!!



ドォオン!!



『ウ゛ァアウ゛ゥウ゛ウ……』

当然のように、それは致命傷にすらなっていない。
ミケランジェロは多少後退させられたものの、まるで攻撃が染みていなかったかのように、あっさりと体勢を整える。
それでも力強い突進を受けて、黙っているはずが無いだろう。



γγ 後方には棘の付いた太い尻尾があったな……

まさに今それを使う機会であるとミケランジェロはその黄色い眼を尖らせる。
両脚を上手く動作させ、そして尻尾に遠心力を加えれば相手を狙い打つ事が出来るのだ。

α ― 重量と硬度を携えた尻尾は……

β ― 速度を上げて対象を狙う!!



―◆◆―≪≪  黒塗りの鉄塔ブラック・グロウアップ  ≫≫―◆◆―

原種の尻尾と比較すると、明らかに黒く塗られているのが分かるはずだ。
その黒塗りと化した尻尾に反動を付けて振り回せば相手はどうなるだろうか?

純粋に、打撃を与えられるだろう。飛竜が相手でも、何かしらの打撃は加える事が出来るだろう。
狙いは……

    ▼▼▼▼
ヴォルテールの胴体だ!
    ▲▲▲▲



ゴォン!!



グアウアアァアア!!

岩の鎧ライズウォールで作られた甲殻に衝撃が走り、それが胴体にも直接伝わった事によって、
ヴォルテールは多少ではあるが、怯んでしまう。

そのよろめきによって両足が大きく踏み鳴らされ、地面も激しく揺れている。
もしもろい部分に足が落ちれば、すぐさま溶岩の穴レッドインヴィテーションが出来てしまいそうだ。



グアア゛ァアア゛オ゛ウウ!!

黒の城壁ミケランジェロは相手の動きが一時的に止まった瞬間をチャンスと、距離の空いたその空間を再び詰める。
人間で言う速歩はやあるきのような速度でヴォルテールに近寄るなり、突然全身に力を入れ始める。

――身体の向きも正面に対して、僅かに横にずれているように見えるが……――

ミケランジェロはきっとわざとそのようにしていたのだ。
巨体そのものが武器になる事を知っていたが為に、動きを止まったヴォルテールに追い討ちをかけるのだ。



―◆◆―≪≪  黒の体躯に塗られる残像シャーヴィングウェイト・フォーシブル  ≫≫―◆◆―

全身の筋肉インテリアーストレングスを強張らせ、そして一気にそれを放出する行為をこう呼ばせてもらう。
実際に発動した時、ミケランジェロはどうなるか。

まるで側面を使うかのような体当たりを、瞬間的な速度スペクトラムスピードと共に行い、
その瞬発力モメントリーパワーをそのまま打撃力へと変換させ、相手を突き飛ばす。
放った自身がそのまま体勢バランスを崩さないように両足を運ぶのも意外と大変な作業なのだ。



―ガァォオン!!!



――胴体と胴体がぶつかり合った……――



グォオォオ!!

二度連続で攻撃を受けたヴォルテールは、ミケランジェロの力に素直に押されてしまい、
後退を続けながらまるで焦っているかのような鳴き声を張り上げる。
それは鎧壁竜がいへきりゅう独特の濁ったものではあるが、感情を表現するならば、きっとそれで正しい。

――地面が踏み鳴らされる……

――背後に待つもの、それは……



『グアァア……』

ヴォルテールも黙っている訳には行かず、何か手段を相手に提供してやろうと、両足に力を入れる。
何をするにも、まずは直接動かなければ、どうしようも無いのだから。
早く仕返しをしなければ、気が済まな――

―ガラッ……

υε 岩が軽く崩れるような音が……

突然身体の位置が下がるような錯覚を覚える。
まさか、地面が下がり始めたのだろうか? しかし、相手の黒い鎧壁竜の高低差アンデュレーションはまるで変わらない。
いや、相手が変わっていないからこそ、自分の視点で地面が下がっているように見えているのだ。

そして、これが指し示す意味と言うものは……



β◆β 足元が崩れた、そう表現すべきである/GROUND COLLAPSE β◆β

地面がヴォルテールの度を越えた重量ギガンティックボディを支えられなかったのかもしれない。
それによって地面が崩壊し、真下に待ち構える真っ赤な海フレイムマウスがヴォルテールを飲み込んだ。
下半身は紅い海レッドゲートによって見事なまでに拘束される。

グアォアァォオオ!!

その驚きを表現したかのような雄叫びは、熱による激痛によってもたらされたものでは無いだろう。
突然地面が破れた事に対して、だと考えられる。



――ミケランジェロもその光景には呆然とするが……――

だが、相手が溶岩へ落下しようが、それは情けをかける為の理由にはならない。
自分より低い視線に存在する相手に更なる追撃を仕掛ける事が出来れば、相手より優位な立ち位置を奪い取れるのだ。
それを狙い、まるで上から見下ろすかのように、ミケランジェロは頭部を持ち上げ始める。



χχ 溶岩に沈む鎧壁竜ヴォルテールも黙っているのだろうか…… κκ

―◆ο 溶岩の熱ブラストスモークはきっと沈んだ飛竜に熱を与え続けているはずだ

―◇ρ そう言えば、鎧壁竜に備わっている特性を覚えているだろうか?

―◆τ 体内の熱を放出する為に……



身体はまだ溶岩に埋まっているが、きっとこのピンチをチャンスへと変える手段を持っているのだろう。
徐々に迫る黒の飛竜ミケランジェロをじっと捉え、ゆっくりと口を開く。

岩作りの口がゆっくりと開く。内部が光る。
この一連の光景には意味が植え付けられている。
ただ、光るだけでは無い。そもそも飛竜の口が光る場合は、必ずロクでも無い事が起こるのだ。

そう、起これば・・・・、の話だが。



―▼▼― 黒い飛竜ミケランジェロはそれでも接近をめず…… ―▼▼―

―コノママ……シズメテクレヨウ!!―

殺気と強気トーチャースグリットの混じったミケランジェロの両眼は、とどめを宣告するかのように開かれていた。
白い奴ヴォルテールよりも、黒い方ブラックヘヴンが強いに決まっている。
それを証明する時が、まさに今なのだ。今を逃していつ実行する?



ττ 間近の距離ディサイジョンモメントへといざ踏み込む!! φφ

さて、ミケランジェロは何を下そうと企むのか。
それが今見ていればすぐに分か――



ブアァアオォァアアァアアアアア!!!!!

ゴァアァアアアアァアアアアァア!!!!!

■■ 風の流れる強い音と
■■ 渦を作り出すような音が耳障りに響く



―◆◆―≪≪  発射口からの灼熱洗礼レッドウィンド・カタストロフィ  ≫≫―◆◆―

ヴォルテールの口腔こうこうがまさに撃破用の発射口インターセプトシステムと変貌する。
体内に散々蓄積しておいた熱を発散させる為に、このように目の前の怪物目掛けて、気体として発射させるとは。

気体とは言っても当然のように生易なまやさしいものでは無いし、生暖なまあたたかいものでも無い。

紅と橙フレイムエアー混合ブレンドし、溶岩に匹敵する高温を渦状の炎パラレルヴォルテクスに携行させる。
相手を紅蓮の炎風ボルケーノハーヴェストに巻き込み、残虐に黒く染め上げる為だ。炎の世界ラーヴァランドで、最も相応しい最期の姿がそれなのだ。
発射対象となった漆黒の巨人兵ミケランジェロは元々黒いとは言え、灼熱の風ウェイティーブローを受ければ無傷と言う訳には行かないだろう。



――■δδ■ 紅い風ファイアショックがまるで槍のように、ミケランジェロへと突き刺さる!!

――■ππ■ 炎を模した風クリムゾンスピリットは突き抜けず、周囲へと離散する

――まるで、黒い城壁ブラックマインドそのものに押しやられているかのように……

――■ββ■ ミケランジェロ自身は、その圧倒感に押され、身体も後方へと後退バックさせ始める……



ψψ 相手の動きが止まった。これは確実なチャンスとなる

ξξ 一度放出を停止させても問題は無いだろう



しかし、ヴォルテールの立ち場所は溶岩の内部だ。
まずはここから出なければいけない。

ゆっくり上がった所で、眼を閉じて僅かな間硬直しているミケランジェロから仕返しを受けるのがオチだ。
もうここはとことん過激に進んだ所で、この火山地帯は怒りの鉄槌や制裁ヴォルカニック・ジャッジメントを下してくる事は無いと信じたいものだ。



―アイツノオモイノタメニモ……マケラレルカ!!―

ヴォルテールの中に宿る一つの想いが、その巨体を大きく突き動かす。
まるで後ろから余りにも強過ぎる力で押されたかのように、その巨体が溶岩から跳び上がる。
人間の旧友クルーガーの想いを無駄にしない為にも、ここで負けられないのだ。

ガラララァア!!!

地面の岩を削り壊しながら、無理矢理その鎧の身体ハードアーマーを前進させ、ミケランジェロへと飛び掛る。
まるで空中から黒の鎧壁竜ミケランジェロ目掛けて襲い掛かるかのようだ。
元々ミケランジェロより下部にいたとは言え、飛び掛るように襲いかかるとはなかなかの戦闘精神ファイティングハートを持っていると言える。



ガァアア゛ウ゛アアア!!

熱線を受け、そして自分とほぼ同じ質量を誇る相手から体当たりを受け、多少悲痛に染まった鳴き声を飛ばす。
ミケランジェロも組織に属する特別強力な能力を誇る飛竜であるとは言え、弱みを見せる時はきっとあるのだ。
それでもそのまま倒れ込まずに両足を踏み鳴らす姿は流石は組織の一員だ。



――黒い竜の両眼がまた黄色くひらめく……――



一瞬だけ形勢逆転でもしたかのように、連続で攻撃を嗾けてきたヴォルテールに再び憎悪の魂を燃やしたはずだ。
それに、何かを伝えるかのように迫ってきた以上は、ミケランジェロも何か言葉メッセージを受け渡すべきだろう。



σσ 灯る両眼リカーアイズが意味するものは……



真正面に立つ白い鎧に向かって、純粋にぶつかってみるのも面白い。
手の込んだ攻撃方法アタッキングブレイドが思いつかないのなら、単純にぶつかるだけでその効果は確認出来る。



―ムカシノユウジョウナド……スグニワスレタラドウダ!?―

非情な思考コールドノーションを身体全体に乗せるかのように、そこまで距離の取っていなかった白の鎧壁竜ヴォルテール目掛けて走り出す。
走るのは、当然のように自身の体重の頑強点ストロングポイントを叩き込む為でもあるのだ。

◆π 黒の胴体ミケランジェロ白の胴体ヴォルテールがぶつかり合う!!

グアァ″オウ!!

ヴォルテールは再び後ろへと押され、思わず雄叫びを悲鳴のように飛ばしてしまう。
押し合い程度ではミケランジェロには負ける訳には行くまいと、両足に力を入れている。



――黒の竜ミケランジェロの表情に、一瞬笑みが走る……――



再度溶岩へと突き落としてやろうと、まるで笑い出したかのようにその黒い岩のような口が開き出す。
熱線を放つ為では無い。単に感情を表現しているだけである。

ヴォルテールの背後には大きく開いた溶岩が残っている。
そこから立ち上がる独特の煙や熱気も健在だ。再び行動を制約すれば、また立場が有利となる。

――まあ、熱線による仕返しは恐ろしいが……――



εε 兎に角、今は押し込んでやろうか!!

οο ヴォルテールは邪魔な存在アイソアプルーフだ!!



―コノヨハツヨイヤツダケガノコルノダ!!―



ヴォルテールに近寄る姿は、巨体の迫力に相応しい威圧感メニスクオリティーが放たれている。
飛竜同士シミラーレイスでこの迫力である。即ち、質量が同じ者同士、と言う意味であるが、迫る姿は誰が対象であろうと、その度合いの低下は有り得ない。

飛竜と人間の間に友情関係が芽生える事は無いと証明する為に、ミケランジェロは牙を剥く。



―チカラダケデシハイデキルモノカ!!―



ヴォルテールはもう正気に戻っているのだ。
既に衛生害虫オレガノの脅威は去っているのだから、クルーガーに向かって、理性を捨てて襲う事はしなくなった。
だからこそ、組織の下で動くこの黒い鎧壁竜だけは見逃せなかったのだ。
野生とも異なり、人間を襲う経緯も確実に、全く別のものへと変貌しているに違いない。

このまま溶岩へと押し戻されてしまうのか。
いや、それを許すほど、ヴォルテールも実は弱くは無いのだ。



■■ ここで尻尾に頼るべきだろう……

□□ さっきミケランジェロから受けたから、仕返しと行こうか……



―◆◆―≪≪  白と刺の進撃石像ロックウォールブレイカー  ≫≫―◆◆―

ヴォルテールの後部に備わった刺の生えて、尚且つ脂肪分でも蓄積させたかのような尻尾に遠心力を加える。
近寄ってくる黒い敵対者には、非常に重たい一撃を一度提供するのも良い手段だ。

相手の体格を考えれば効果が薄い攻撃かもしれないが、何もしないよりはマシだ。

―◆φφ ヴォルテールの巨体が脚から捻じれる……

―◆θθ 同時に尻尾も激しく振られ……



ドォオン!!

グオォオ!

胴体の側面に重たい尻尾の直撃を受けたミケランジェロは攻撃が効いたのか、一瞬だけ動きを止める。
だがそれは実際の痛みスライトブルーズによるもの、と言うよりはどこか屈辱的な感情フィジカリーペイメントによる縛りにも見えてくる。

尻尾で叩き付けてきたヴォルテールが憎かった事だ。
単にぶつかり合いドールウォーを繰り返すだけの戦いはなかなか終わらない。
人間とは大きく異なり、溶岩の灼熱地獄ギガ・ホットウェザー空間エリアと言う理由だけでむしばまれる事は無いのだから。



――黒い翼に力が注入されていく……――

ミケランジェロに備わった両翼りょうよくに極限までの力が受け渡されていく。
これはもう少し重量の低い飛竜であれば、きっと自由な飛行フリーダム・ムーヴメントが出来るのだろうが……

――◆ φδ 巨体が宙に浮かぶ / Flying Body

だがそれは継続的に進ませる事は不可能だ。構造や質量が元々滞空記録エンデュランスタイムを塗り替えられない作りなのだから。
しかし、そうやって身体を持ち上げる事自体がヴォルテールにとって何を提供するかを示しているようなものだ。



――だが、どう考えても着地地点ヒットポイントとヴォルテールを合わせる事が出来ない距離である――

つまり、着地すると同時にヴォルテールに覆いかぶさる事が出来ないと言う事だ。
だとしたらこの行為の有効性の低さが疑われる。
腹部から何か煙が出ているのは気になるが、いちいち跳ぶ必要性は存在したのか。



『グォ……』

ヴォルテールの両眼にまるで疑問符でも付け加えたかのような感情が映り出す。
自分の体長よりも僅かに上の部分にミケランジェロの足が映るものの、明らかに押し潰す事が目的では無い様子だ。
それでも腹部から立ち上がっている黒い煙スモーキーサインには何か見覚えがあるようだ。



――感付いたのか、何歩か後退あとずさる……――

元からその重量が非常にある為に、俊敏には下がれない。
しかし、その黒い煙はただの煙だとは思えなかったのだ。

やがて、ミケランジェロの足が地面に降りる時がやってきた……



―υυ― 異変は同時に発生するものだ ―υυ―



―◆◆―≪≪  地雷の轟く黒の大地アウトクライ・オブ・インパクト  ≫≫―◆◆―

ドォオン!!

地面に一つの黒い巨体ロックスタチューが落下する。
同時に、腹部の甲殻ヒートラディエイションデバイスに異変が発生し、それによって本当にミケランジェロが果たしたかったであろう事が行われる。

δσω 腹部は腹部でも、その黒煙は一つの合図であったのだ ωσδ

ρκπ 今度は光り出し、遂に腹部が気体爆発エアリアルエクスプロージョンを引き起こす…… πκρ



ブァオアァアアア!!!

ボアァアアアアア!!!

ミケランジェロの足元は一瞬にして過激地域ガス・デンジャラスへと変貌してしまう。
もしここに人間ハンターがいれば、即座に全身をあぶられてしまうに違いない。



『グォオ!!』

ヴォルテールも、その着地時の震音に惑わされず、周辺へと小規模の爆音と共に放たれる炎の風を無視して
そのままミケランジェロへと突き進む。

そのまま動かないミケランジェロを狙うには、絶好のタイミングだ。



―モットカゲキニイカナイカ?―

ミケランジェロは相手を潰す為に飛び上がった訳では無いようだ。
黄色の眼ストーンジュエルには、相手を始末する為の殺気では無く、現在の水準レベルをもっと高いものにしたいと言う欲求が映っている。
何故か、地面そのものもミケランジェロに共鳴するかのように、変化が訪れていた。



ビキッビキッ……

それは静かながら、地面に亀裂が入っていく音だ。
原因は、爆発による衝撃ボムシェルズミスチフか、或いは超重による衝撃スケールクラッシングか、そのどちらかを考えている間に
その地面は耐久値の限界リメインダースクイザーを迎える事となってしまう。



ゴゴゴォオオ!!!

ザザァアアア!!

ズオォオオオオン!!!

地面が割れていく音と、その割れた塊の集団が溶岩へと落下する音が鳴り響く。
最後には、ミケランジェロ自身が溶岩へと落下する巨大な音グラビティミュージックが響き渡った。



―ββ― まさに、黒の飛竜ミケランジェロを喰らう溶岩型肥食獣イフリート・スネークのようだ……/RED HOLE ―ββ―

一度大きなくぼみが現れたかのように、ミケランジェロの周辺だけが大きくへこむが、
周囲の溶岩が即座にそのみぞを埋めてしまう。
これによって、まさに巨大な口ベコンウェーブとなっていた溶岩がミケランジェロの身体を飲み込んだと言って差し支え無い表現が可能となる。

しかし、やはり溶岩に浸かったと言うのにやけに冷静なのが、このミケランジェロだ。



―ナニガシタインダ? コイツハ―

ヴォルテールはそんな疑問系をいだきながら、溶岩に呑まれているミケランジェロへと接近していく。
やっている事がよく分からないからこそ、相手に隙を与えてはいけないものだ。



―オロカダナ……キサマハ……―

ミケランジェロは一向に自分の立場に恐れおののいている様子を見せなかった。
奴が求めている理想郷ユートピアは、外部から窺い知る事は出来ない。
神の視点ディファーアイディアを持ってしても、それは難題を極める話。



――突然、頭部を溶岩へと埋めていく……――

求めるものは相手を滅ぼす事に限られた事では無いのだろうか。
溶岩の中にその欲する宝玉プレイスが埋まっているのだろうか?

とうとう背中までもが溶岩の中に消えていってしまう。やはり、火山の飛竜ボルケーノジェネラルに相応しい光景ではある。
もし溶岩を地面として例えれば、それは土竜≪もぐら≫にも見えるのがまた面白い。

当然の話でありながら、ミケランジェロは道楽の空間テーマパークを作り出すつもりは無いはずだ。



――◆◆ 一瞬だけ、溶岩の中から気泡が浮き出てくるが……



『グオォ……』

鎧壁竜ヴォルテールはただ黙って、黒の鎧壁竜ミケランジェロの行動を見ているしか無かったが、
やはりこのまま立ち止っているのかもどうかと考えたのか、やや早いテンポで後方へと下がる。



――時は、油断を認めない……――







ゴォオオオオ……

■ε 溶岩の中から響く、空気の揺れる怪奇な音モンスターボトム…… ε■

■υ 溶岩が波打っている……そして、徐々に強くなっていく…… υ■

■σ ヴォルテールも、黙っていられるのだろうか? σ■

丁度ミケランジェロが消えた地帯が一向に穏やかになる様子は無い。
これだけ騒がしくなっているのだから、もうこの後の事態の予測には困らない。



ゴゴォオオオオ……



溶岩内部からの勢いはもっと強くなっていく。
耳障りになる程では無いが、音量が高まっていけば、やがて恐怖へと変換されていくだろう。
そこまで行かなくても、一種の不安程度は感じるはずだ。

後退を続けるヴォルテールであるが、時はやってくる……





ゴォオ……



―― 一度、音が鳴り止んだ……――

――波の揺れは止まっていないが……――







―ブゥウウ″ュウ″ウィ″イ″イイイ″イィ″イ″イイン!!!!!

―グアァアラララァアァアアラアララァ!!!!



  ◆ρ 地面を崩す!! ρ◆χ GROUND BREAK!! χ◆

◆ρ 溶岩が噴き上がる!! ρ◆χ LAVA DANCING!! χ◆
















――とある状況が現れたのだ……。これ一つで、世界が変わる……――





―◆◆―≪≪  天災地変と鎧壁竜曲の共鳴ドラゴニュートナイトメア  ≫≫―◆◆―

紅く輝く海プロミネンスレイに潜った鎧壁竜は、遂に溶岩と融合シンクロする事に成功したのだ。

      ◆ ψ いつかは太陽をも操ってやるか……
                        il sole fu mangiato il dragone nero. β ◆





                     ▲▲もっと過激に行くぜ? 付き合えよそこの小僧?▲▲



無数の紅い炎ビウィチングテンタクルズ地面を突き破るスキャダーフィールド!! / CRIMSON APPLAUSE!!

      ◆ ψ オレにとってはこいつらは舎弟だぜ?
                        i miei favoriti sono esistenza obbediente. β ◆

δδδ 伸びる手カースフロー究極の獄炎ザバーニーヤ・ストライク贋造がんぞうされてるが、近寄るなよ? δδδ

κκ 燃え上がるぜ?バーニング!  ζζ 消え去るぜ?フェイディング!  ττ 焦げで染まるぜ?ドントキル!!  ρρ 傷が残るぜ?アイルキルユー!!

                            ιι 過激な最期だぜ?ノー・デッドエンド!!  υυ 歴史に刻むぜ?ヒストリークラッシャー!!


             ■□■□■ これぞ瀟洒しょうしゃなる6連鎖だシックス・コンボ!! / INFERNO 6!! ■□■□■





敷かれた地面ステッドファストチェアーズだって決壊される時ぐらい、過激に暴れる宿命インスティンクト・イン・プリズンを背負い出す!! / RATE THROW!!

      ◆ ψ 折角だから、灼熱地獄を満喫しようぜ?
                        perche non si tuffa a lavico? β ◆

ξξξ 舞い上がり、溶岩へと消えていくフライヤー・アンド・フォーリング……。地面とは、そんな虚しく散る運命なのかサッドフォーチュン・ストーリー…… ξξξ

αα 消えてしまう……イレイジング?  ωω 儚く散る……スプレッディング?  ββ あの頃が懐かしい……ホワイ? ホワイ??  σσ でも、何も残らない……ドールイレイザー……

                    γγ いつか、蘇るのか……マイホープ!!  εε 溶岩から蘇るのか……シャラアップ!!
                               θθ どうせなら、世界になりたい……ギブミー・ザ・ワールド!!


             ■□■□■ 愁傷しゅうしょう過ぎる、7つの宝物セブン・ルビーズ……。光が見えないダークライト…… / PATHETIC 7 ■□■□■



                ▲▼ 溶岩と地面の扱いの、この差は一体何なのだ? ▼▲

輝く溶岩ドリフターソルジャーはまるで世界を地獄へと導く恐怖の大王ハルマゲドンのような扱いをされていると言うのに……
硬質なる地面クロージングゲート奴隷社会スレイヴディスクリミネイションの如く、粗悪な表現や描写コーナー・カッティングフレームしか提供されていない……

いや、寧ろこの貧富の差こそが、異様な光景の威力シナリーパワーを無理矢理底上げしているのかもしれない。
とりあえず、炎が地面を突き破ったその後の光景を見てみるとしようか……







グオォオオァアアア!!

これはヴォルテールの鳴き声であるが、決して雄叫びでは無い。
人間で言う、驚愕を意味したものである。

割れた地面から力強く炎の手フレイムハンズが伸び、それらがまるで容赦と言う名の制御を知らないかのように包み込む。
ただ包み込むだけでは無い。炎が地面をえぐるかのように、ヴォルテールを溶岩へと引っ張り込む。
地面は今散々説明した通り、割れて、そして溶岩に支配されていく。



ゴォオオ!!

ドォオオォオオォン!!

ヴォルテールはとうとう溶岩の中へと引き摺り込まれてしまう。これで立場はミケランジェロとまるで一緒だ。
因みに、今響いた音は地面が割れていく音と、溶岩へと落下した時の音だ。
そして、もう一つ補足させてもらうと、実はまだミケランジェロは溶岩の中イン・ザ・ダークネス……



――θ しかし、解放される時が今迫る…… θ――

周辺を過激に破壊され、まるで飛竜だけの世界にしたかのようなその真っ赤な溶岩の世界。
地面が破壊された後、そして、鎧壁竜が落下した後は妙に寂しさと虚しさが風に乗ってやって来る。
溶岩に落としてそれで終わりなの? と思われそうであるが、まさに、迫るものがあるのだ。



ブシャァアアアア……



■ ◇ 溶岩の中から、黒い何かが突き出てくる…… / BLACK SOUL!! ◇ ■

覆い被さっていた多量の溶岩が重力に引っ張られながら下へと流れ落ちる。
赤い世界の間から徐々に姿を見せてくる黒い色が非常に禍々しい。

黒い色を被った宿敵をよく見れば、その流れ落ちる溶岩の間から特徴的なあの黄色の眼ダブルサーチャーを光らせている事に気付くはず。
まるで竜の自縛霊ダークスペクターがこの世に蘇るかのように、妙に妖麗ようれいな姿で鮮明になっていく。
もう一つ付け加えアペンディクスをさせてもらうとすれば、身体全体が紅く熱されているのである。

――σσ 溶岩が流れ終わっても、紅の光輝ヘブンズフレイムは継続されている……

――ββ 実は、とある準備段階アブソープションが既に完了されているのだ……





―コノテイドデヤラレルカ!!―

溶岩しか足場の無い状態のヴォルテールだが、それで溶岩にやられる程この種族は貧弱では無いのだ。
この灼熱の溶岩の中で戦う方がより飛竜らしく、そして飛竜でしか不可能な戦いが出来るに違いない。
まるでそれを心で燃やすかのように、ヴォルテールは見事に溶岩の中を泳ぐように進み、ミケランジェロと向かい合う。

距離は近くは無いのだが、わざわざ密着しなくても相手を攻撃する手段は存在するのだ。
この2頭は【鎧壁竜】と呼ばれる種族なのだ。
普通なら燃え尽きてしまうはずであるが、この飛竜の甲殻は異常な程に熱耐性があるのだ。
しかし、今はここで飛竜科学を説明している場合では無い。
そして、ここは学習施設でも無い。





――今なら、再び放てるはずだ……――

同じ鎧壁竜であっても、必ずどちらかがこの地で果てる。
少なくとも自分自身がその末路を辿らないように、口を広げる。
溶岩を真下に配置しながら、ヴォルテールは全神経を口腔こうこうへと注ぐ。
きっと、ミケランジェロは何をされるのか悟っているはずだ。



周囲が溶岩だらけとなったこの空間で、ヴォルテールは実行を開始する。
心で思うだけでは無く、実際におこなって初めて威力が認められるのだ。







―◆◆―≪≪  散逸狙う火炎放射・αブラッディイレイザー・アルファ  ≫≫―◆◆―

旧友クルーガーに放った時に比べればその威力は確実に上昇している。
体内の熱を放出すると言うその体構造システムは、溶岩の熱をそのまま付属兵器プラスアルファとして吸収してしまう。
まさに溶岩地帯ドレッドファイア鎧壁竜の天国ホワイティランドとして表現出来てしまうのだ。



――ωβ 今、放射が開始されるのだが……





―ο◆実は、ミケランジェロも同じタイミングで……◆ο―

空間の良質な条件は、黒鎧壁竜ミケランジェロも全く同じなのだ。
一方的な補強効果は保障されない。

逆にミケランジェロの方が蓄積された力は多いはずだ。長い間溶岩に、しかも潜っていたのだから。
圧倒的な熱量を保存したその肉体は、もう限界を超えているのだろう。



――だからこそ……――



―ρ― 黒の発射口エボニースラッシャーを全開にし…… ―ρ―



―κ― 砲撃の開始は、鎧壁竜ヴォルテールと同じタイミングであったが…… ―κ―



―θ― とりあえず、まずは光景スクリーンを観てくれよ…… ―θ―







―◆◆―≪≪  獄紅なる時空焼却砲・Σデリートプロミネンス・シグマ  ≫≫―◆◆―

熱を放出すると言っても、視覚的な意味で考えれば優しいとはまず言えない。
殆どそれは、爆撃指令に相応しい壊滅的打撃をことごとく提供する地獄からの贈り物だ。

それが、今、放たれているのだ……



ゴォオオオォオオ!!!!



―◆αα 真っ赤に染まった炎の風ワイルドボアが轟音をまき散らす!!
       α KEEPING TIME SCREAM!! α

―◇ββ 巨大な渦ツイストヴォルテクスを熱線内部に描き、それは正に造られた炎の竜巻リファインメント・トルネードだ!!
       β REPAINT WATERSPOUT!! β

―◆γγ 遂には……溶岩すらもその風で巻き上げ、溶岩も混じった熱線スペリオルハリケーンと化している!!
       γ GIGA - HIGH FEVER!! γ

―◇δδ もう灼熱の風サルトリィヘルでは無い。溶岩を放射しているのと殆ど変わっていない!!
       δ LAVA TEMPEST!! δ

溶岩を巻き上げながら放たれるその熱線は恐らくは通常の鎧壁竜なら見せ付ける事は無い可能性がある。
最も、通常の熱線ヒートヴァイパーでも人間が直接受ければ確実にこの世と別れを告げる事になるだろう。
今ここで実行された、ミケランジェロの贈り物メタボリズムは人間は愚か、熱に弱い飛竜にも軽々と通用しそうな破壊力を添えている。

ただの熱を凝縮したものでは飽き足らず、溶岩をも味方に付けているのだから、それは納得出来る話である。
そして、巻き上げられている溶岩側は、その熱線の衝撃シェイキングインパクトに耐え切れず、激しく波打っている。



――同時に2体が放射したと言う事実は覚えているだろうか?――



これを考えると、その2つの熱線は今、ぶつかり合っていると言う計算となるだろう。
ヴォルテールが放つ熱線も劣っていないものと信じたいものだ。
ヴォルテールの熱線も、人間程度ならば軽々と包み込み、そしてその紅い炎によって消し炭に出来る程の威力と迫力を備えている。

事実上、この光景をはっきりと言い表すとすれば……






             ■■【 散逸狙う火炎放射・αブラッディイレイザー・アルファ 】■■

                     VS

            ■■【 獄紅なる時空焼却砲・Σデリートプロミネンス・シグマ 】■■











χχχ さてと、残されているのは人間2人であるが…… / HUMAN POWERS χχχ

飛竜達だけの戦場では無いのがこの火山地帯だ。
連中の攻撃が届かない場所で、今は黄土色の武具をまとった狩人と、漆黒の鎧を装備した騎士が戦っているのだ。



「ふふ、なかなか楽しませてくれるじゃないかクルーガー」

漆黒の鎧ブラックナイト側の青年こと、ユミルは黒いヘルムの中で、紫の瞳でじっと目の前の狩人を見詰める。
両手で持たれているのは、紅炎色の戦斧ディールプティオであるが、今は刃が少し欠けているのが目立つ。

「強がってんじゃねえよユミル。ただそん武器が無駄に性能いいだけじゃねえかよ」

黄土色の武具を纏っているクルーガーは、鬼神斬破刀を持ちながら右脚を引いた体勢を持ち、
相変わらず強がり続けるユミルに向かって言い捨てるように睨み付ける。

同じく、彼の武器も刃の部分がいくらか欠けている。



「それはお互い様だろう? それと、一個訊きたい事があるんだけど」

ユミルの武器も組織から特別な処理を施されているだろうが、クルーガーの得物だって、飛竜の力を受け取っているのだ。

それを軽く言った後、ユミルは一時的に戦闘体勢を崩して一つの質問を投げかけた。

「なんだいきなし。さっきから昔話ばっかしてたくせによぉ」

クルーガーもその相手の態度には疑問を覚える事だっただろう。
きっと戦っている最中に互いに言いたい事を散々吐き続けていたのだろうが、
わざわざ相手に集中力を施すように仕向けてくる辺り、よほど重要な内容なのか、それとももっと別の内容か……










「シンディとは、ちゃんと連絡取り合ってるのかい? 男として・・・・、ね?」

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