■> I love this gun. <■
■> Bullet make the people torture. <■
飛び交う銃弾はその周辺地域を軽々と戦場へと
周囲の人物はとばっちりを受ける危険と、まるで映画のような迫力から悲鳴、歓声を上げるはずだ。
ボウガンでは無く、拳銃によるぶつかり合いだ。
飛竜を殺す為の巨大銃なのでは無い。純粋に人間と争う為の小型ながらも、恐ろしい武器である。
――【話は戻り……/REVERSE MUZZLE】――
虐殺された大衆酒場内のハンター達。
血液が散らばり、酷い場合は手足が斬り落とされ、そして頭部を割られている。
全てはバイオレットと呼ばれる灰色の皮膚を持った狡猾な殺し屋によってなされた事だ。
男女の差別一切無く殺害され、そんな場所で、今は……
▼ρ▼ Ich will mich bewahren.
▼ι▼ 助かりたい……
▼ρ▼ Ich gehe nicht zum Himmel.
▼ι▼ まだ天に赴く訳には行かないのに……
▼ρ▼ Diese Welt ist zu gehorsam.
▼ι▼ こんな残酷な世の中はもう……
――◆◆ 全てを決めた一発の弾丸 ――◇◇Feuer Frei!!
いくら泣いて
スイッチの入った殺し屋の前ではただの無意味であり、同情には繋がらない。
バイオレットには敵対者に対する情けは持ち合わせておらず、ただ殺すだけを考える精神を持ち合わせている。
油断をすれば、背後から刺されたり、撃たれたりする危険もあるのだから、
特に相手が集団ならば、尚更である。
だが、あの時はもう、少女一人しか残っていなかった。赤の混じった色を持つ狩人用装備のガンナーであったのだが、
既にその時には自分が後に殺されるとか、そんな理屈を考える気にならなかったのだ。
単純に、目の前で
そして飛ばされた銃弾。これで全てが決まったのである。
だから、今、この無数の男女のハンターの死骸や鮮血が飛び散った大衆酒場の中では……
ショットガンで頭部を射撃されたらどうなるか。
簡単に説明すると、頭部が無くなってしまう。
もっと詳しく書けば、着弾と同時に頭部は破裂し、内容物が辺り一面に撒き散らされてしまうのだ。
それだけ、ショットガンの弾は威力があると同時に、その後の惨劇も半端なレベルでは済まされない。
きっと、殺し屋であるバイオレットの周辺には、不幸にも狙われた最後の最後まで生き残っていた少女の肉片が散らばっているだろう。
折角この酒場に居合わせていなければ、あの可愛らしい容姿を風船のように破裂させられずに済んだというのに。
しかし、もう二度とあの顔を拝める事が出来ないとなれば、きっとあの少女に好意を寄せていた人間は残念に思うはずだ。
それよりも、飛び散った血液や
「……」
バイオレットはショットガンを下へと向けたまま、不満を抱くかのような表情を浮かべている。
灰色の顔及び、獣のような緑色の目はどこか苛々とした空気まで見える。
――その後に出た言葉は……――
「なんでこう邪魔ばっかしてくんのかねぇ」
ショットガンは下へと向けられているものの、左手に持ったままだった
先端の細くなった部分――持つ部分――から下が割れて無くなっていたのである。
勿論バイオレット本人がテーブル等の硬質な物体に叩きつけたのでは無い。他の誰かの仕業だったのだ。
――最も肝心な部分。ショットガンの下では……――
非常に強く閉じられた少女の
恐怖のあまり、途轍もない量の涙が溢れており、顔の横を通り、すぐ下の床を湿らせている。
今は、目元しか映し出されないが、やがて、ゆっくりとその目が開かれる。
赤い瞳がゆっくりと瞼の間から映され、そして殴られた過程で口内で出血を起こして
そのせいで赤く染まった白い歯を非常に強く噛み締めている様子までもが映される。
目を開いたその時、少女は気付いたのだ。
(あれ? わ……私……い、生きてる……!?)
それは、純粋に、理屈抜きで嬉しい出来事だった。心中で震えながらも、それを実感する。
だが、涙のせいで目の前の視界は大きく歪み、更に武具の下ではまるで砂漠や火山等の灼熱地帯から
帰還した時のように汗で全身を塗らされており、激しい湿っぽさに襲われている。
ηη どうやら、前回の表現には
決してこの少女に限定された表現とは言えなかったらしく、直接現場を拝む事が出来なかった為に勝手な思い込みをしていたようだ。
だが、現実はこれである。一体何を考えているのだろうか、執筆者と言う愚か者は。
しかし、あれが間違った表現だとすれば、もしや……?
――そんな少女を気にするより、バイオレットである……――
――再び
「テンブラーよぉ」
バイオレットの視線は出入り口へと向けられる。ショットガンを少女の顔面へと向けたままで。
ιιδδ 出入り口に立っていたのは…… δδιι
紫色のスーツ、紫色のパナマ帽を纏い、そして、右手で持った拳銃をバイオレットへ向けた姿だ。
銃口からは煙が上がっており、先程の射撃音の正体が判明される。
夜の外の影響で、多少暗く映されているが、パナマ帽の下に映るサングラスが奇妙に光り輝いている。
「バイオレット……。やっぱお前だったのか。にしても随分暴れたんじゃねぇのか?」
紫色のスーツの男こと、テンブラーは拳銃を下ろさずに周囲を軽く見渡しながら、バイオレットがここで何をしたのか、想像する。
周囲に転がる無数のハンターの死体は凄惨たる光景ではあるが、テンブラーはそこで動揺したりはしなかった。
――バイオレットは立ち上がり……――
「そりゃあこっちも武器抜くだろうよぉ。こっちは目的の
仰向けになった少女を無視し、そのまま立ち上がった体勢でテンブラーに視線を合わせる。
――テンブラーの目つきはサングラスのせいで外からは伺い知れないものの……――
「それにしちゃあやりすぎなんじゃねぇのか? よく見りゃあ女も混じってんじゃねえか。お前の事だから、抵抗して来なかった奴も送ったんじゃね――」
「当ったり前じゃねぇかよ。戦場っつうのはなあ、感情だけで逃がしたりしたら後で刺されたりすんだぜ? 後ろからなあ!!」
テンブラーは未だに拳銃を向けたままだが、その彼の台詞を遮り、
バイオレットはその当然の結果を誇るように言い放つ。
――テンブラーは納得してしまったのだろうか?――
「相変わらず戦場ちゃんと理解してるじゃねえか。昔っからそこんとこ変わってねぇ奴って事かぁ。でもなあ、お前は行き過ぎてるぜ?」
それでも、テンブラーは目の前にいるバイオレットを決して許そうとは考えていないだろう。
「なんだぁ? 行き過ぎてるってのはよぉ。まあでも楽しかったぜぇ? 男も武器振り回して来んのはいいけど、完全力任せなんだかんなぁ。ちっともこっちゃあ当たりやしねえ。こっちは適当にひょひょ〜いって躱して後は適当にぶっ刺すなり、銃弾お見舞いすんなり、だぜ?」
バイオレットは右手に持ったショットガンをトリガーを軸に回転させながら、
腕力だけで、その他の能力を有効に使えなかったであろうハンター達を馬鹿にし始める。
「女もウケ過ぎだったぜぇ? 出来りゃあお前にも見せてやりたかったのによぉ。結局男みてぇに武器振り回して襲い掛かってきたと思ったら、すぐ『キャー』だぜ? 銃弾ぶち込みゃあすぐこれだしよぉ。ってか女なんて狙う場所多すぎでかんなり親切だったんだぜぇ? 手とか足とか曝け出してんじゃねぇよハゲって話だかんなぁ!!」
それでもバイオレットの話題は続き、今度は女性ハンターの方へと入り始める。
あくまでもバイオレットからの観点だろうが、武具で覆われていない部分が男性よりも多いのだから、
バイオレットにとって、女性ハンター達は急所だらけの存在として見られていたに違いない。
それにしても、女性の悲鳴を再現する所が妙に嫌らしく聞こえる。
「まあ結局男でもおれ関節しか狙わねぇしなっはっはっは!! マァジウケんだって、マッジで! あんな……チャチなもんでよく飛竜だのと戦えんなぁって、はっはっは……思っぜ……はっはっ……おれん前じゃああんな糞みてぇに重ぇ鎧なんかつけてても意味ねっつのって話だぜ? どうだ、面白れぇ話だったろぉ?」
一体何があったのか、突然バイオレットは腹を左手で押さえながら笑い出し、テーブルにショットガンを置くなり
空いた右手をテーブルに叩き付けてそのまま笑いながら話を続ける。
死体が転がる周囲には堅い音が無機質に響き渡る。
――やはりテンブラーには焦りの色は映されないが……――
「お前、そこ笑うとこか? 殺人ばっかに
テンブラーにはそのバイオレットが笑う理由が理解出来ずにいる。
だから、頭の中で異変でも起きてしまっているのかと声を淡々とかける。
だが、相変わらずバイオレットは笑い声を発したままである。
「あぁ? 笑っとこだろうよぉ……はっはっ……。おれはなぁ、わっざわざ頑丈なとこ狙ったりしねんだよ。だからおれ相手ん喧嘩すっ時ゃあなあ、おれ専用の鎧でも作っとけって話だって事よぉ!!」
笑いながらも、バイオレットは話を聞いていたようである。
多少落ち着いたようにも見えるが、それでもまだ笑いを抜けずにいるようだ。
事実上無理に近い設計武具を用意させようとしながらも、再び右手でショットガンを持ち直し、
――そして!!――
「なぁ!!?」
―バスゥン!!
κκ テンブラーに向かって弾丸が発射される!!
「っとっ!!」
笑い過ぎの影響で狙いが甘かったのか、それともわざと外してくれたのか、
テンブラーには命中せずに済んだが、テンブラー自身も素早く横に飛び込み、
そしてテーブルの上を転がりながらそのまま下へと降りる。
これでテンブラーの目の前には
「そんじゃあテンブラーよぉ。もうそろ始めっか? おれと、お前だけの
隠れているテンブラーに向かって、バイオレットは堂々と体勢を伸ばしながら、
その
同時に一度軽くしゃがみ、左手にとあるものを持ち出したのだ……
――バイオレットの傍らで屈んで震えていた少女……――
卑劣な事に、バイオレットは狩人用装備のこの少女を左手で盾のように持ちながら、
銃撃戦を繰り広げようと企んでいたのだ。
既に少女の赤い髪は多少乱れ、それでもツインテールは少女の微動によって寂しく揺らされている。
「え……いやっ!」
強引に立たされた少女は悲鳴に近い声をあげ、思わず赤い瞳を両方とも強く閉じる。
――それを見てテンブラーが黙っているはずも無く……――
「て、てめぇどう言う真似だ!?
恐らくここで初めて聞くであろうテンブラーの怒鳴り声だ。
ハンターとは言え、脅えた少女を盾にするバイオレットに対して、
テンブラーは立ち上がり、再び拳銃を向け直す。
「はぁ!? お前ちょい勘違いしてねぇかぁ?
疑問系ばかりをぶつけながら、
バイオレットは盾として強引に機能させている少女の頭をショットガンで乱暴に叩き付けながらテンブラーに反論する。
叩かれる度に少女の目が強く瞑られる。
口で抵抗すれば今度こそ本当にあの世へと赴く事になるかもしれないからだ。
――それで、テンブラーは……――
「お前どう言う事だ? まさかお前……」
テンブラーの右手に構えられている拳銃がより強く握られる。
人権を持つ存在である少女をまるで
「自分でほざいてて分かんねぇのかぁ? まさか、だぜ? こいつが人間だっつう認識おれがしてっと思ってんのか? こいつはもう
――相当狂っているに違いない、バイオレットの人間感覚……――
バイオレットは無理矢理立たされて震えている少女を見下ろしながら平気な顔をして、
人道を外れたような発言をし始める。
「お前……」
テンブラーもどう言い返すべきか分からないのか、その呟くような一言しか出せなかった。
――だが、狂った人間感覚から生まれる発言はまだ終わらず……――
「なんだよ? 別に人間だって
一体何を考え始めたのか、バイオレットは人間と言う形を支えている根本部分から語り始める。
とことん自分の意見を通したいのだろうか。
「だから何だよ?」
決してその人間を形作る素材がバイオレットの行為が許される理由にはならないはずだ。
テンブラーはサングラスの下にある赤い色を帯びた目を細める。
「だからってお前……簡単な話だろ? た〜だそんな塊に目みてぇなもんだの鼻みてぇなもんだのくっ付けてそれが顔みてぇに見えてっだけじゃねぇか。んでもって手だの足だのぶらぶらさせてっだけなんだって。そんな物体がなんか
何を言っているのだろうか……
バイオレットは再び狩人用装備の少女が押さえつけられている左腕の中で涙を浮かべている事等知る
人間が温かみのある血の通った存在としてでは無く、単純な工作作業の過程で生み出された、
代わりならいくらでもいると言うこの地で生きる者がとても口にするべきでは無いような台詞を平然と口に出し始める。
――遂に耐えられなくなったテンブラーは……――
「人間と粘土一緒にすんじゃねぇよ!! 命ゴミみてぇに言っておかしいって思わねぇのか!?」
今にも発砲してしまいそうな迫力に満ちたその怒号は、バイオレットの意見に反発している事を意味している。
だが、あれだけの殺害を平然とこなしてきたバイオレットはその程度で肩を
――だが、テンブラーの態度の豹変ぶりには多少驚いているはずだ――
「ってなんだぁ? いっきなし怒鳴ってくるなんてよぉ? でもなあ、結局人間も粘土も変わんねぇだろ? お偉い人間っつうのはよぉ、ちょっとでもいらねぇって思ったら簡単に捨てたりするような時代だろ、今ってのは。本人は真面目にやってようが向こうの好きなようにされちまうそんな時代なんだって今は」
何故かバイオレットはその灰色の表情をやや真剣な色に染め始める。
だが、右手にショットガン、左腕にはやや薄い赤髪の少女、と言うスタイルは変わらない。
「なんだ、次は社会の話題か? それとも言い訳作りか?」
まるで世の中の仕組みを学習させられているかのような気になったテンブラーは、
そのまま単刀直入に訊ねる。
「そう言う事なんじゃねぇか? 捨てられた人間っつうのはなあ、結局生きてく為にわっざわざサラ金にでも手ぇ出して借金塗れんなっちまんだぜ? お偉い人間にとっちゃあなあ、他の人間とかなんかゴミにしか見えてねぇ訳よ。そうやって借金に埋もれて、
―― 一度ショットガンの
「おれみてぇになぁ!!」
―> 緑色の眼が獣のように細くなり……
―> 笑みが一瞬で消え去った……
―>
σσ
テンブラーは思わずしゃがみ込んでテーブルを盾にして回避する。
「口で言っても分かんねぇかあいつは……」
テンブラーも改めて片手拳銃を構え、遂に反撃を試みる。
確実にテンブラーも射撃技術は未熟では無いはずだ。
――思い切って立ち上がり、バイオレットに向かって右手を伸ばす!!――
その先に握られる拳銃から銃弾が飛ばされる。
これがテンブラーにとって最初の攻撃となった。
αα だが、その先にあるものは……
「へっ! 当たっかよぉ!!」
「ひぃ!!」
バイオレットの傍らに設置されたテーブルに多少深く減り込んだのだ。
だが、バイオレットには生きた盾がいるのだから、そっちは悲鳴を飛ばさずにはいられない。
下手をすれば誤射される危険すら伴っているのだから……。
「もっと行くぜぇおい!? あんま適当に狙ってんじゃねぇぞぉ!? したら多分これ
バイオレットは少女の後ろに隠れたまま、再びショットガンを吠えさせる。
自分自身を隠しながらの射撃ならば、負傷する危険が極めて少ないのだ。
一瞬、バイオレットがこの少女を物体ではなく、生物としての存在価値を認めた様子が垣間見えたが、
それでも左腕が少女を解放する様子は全く見られない。
―バスゥン!!!
―バスゥン!!!
「けっ!」
テーブルの盾に感謝を覚えながらも、バイオレットに対しては別の感情を飛ばす。
だが、時間を無駄にする暇は無い。テーブルに身を隠しながらも、再び拳銃を
――バイオレットへ飛ばされる銃弾――
だが、狙われた男は着弾地点を狙い、わざと盾と化している少女をそこへ近づける。
「きゃっ!!」
εε 目の前で弾ける木片…… 命中していた時の恐怖を覚えさせる…… 勿論少女に対して……
バイオレットも再び反撃に走る。
ショットガンから計三発、テンブラーに向かって発射する!!
―バスゥン!!
―バスゥン!!
―バスゥン!!
υυ テンブラーはテーブルからテーブルへ、身を乗り出さずに素早く移る
οο 先程隠れていたテーブルがとうとう穴を空け、
「相変わらずせけぇ奴だぜ……」
銃撃が止まった事を発射のリズムの停止から読み取り、再びテンブラーは拳銃をバイオレットに向かって吠えさせる。
――いくら命中率に自信があった所で……――
「いやっ!!」
涙で溢れた少女の顔のすぐ横をテンブラーの弾丸が通り過ぎる。
本当はバイオレットを的確に狙っていたが、バイオレットは純粋に避けたのである。
少女の後ろへと。
「!!」
テンブラーはバイオレットのみと闘っていると言うのに、無関係な少女を脅えさせてしまい、
一瞬身を凍らせてしまう。
――そして少女は……――
「お願い……です!! 絶対……私撃たないで……下さい……!!」
確実に震えているその様子は、僅かながらテンブラーにも原因がある事だ。
誤射される恐怖からは狩人用装備で武装していようが逃れられないのだろう。
「心配すんなお嬢ちゃん。俺はそいつだけに用があっから――」
◆■ κμ だが、バイオレットのショットガンは黙らず…… μκ ■◆
「
バイオレットの怒鳴り声がテンブラーの
同時に再びショットガンが
―バスゥン!!
テンブラーには命中しなかったが、背後へと直進した弾丸は壁に衝突し、そのまま穴を作る。
そんな威力の高さを思い知る余裕も持たず、テンブラーも再反撃へと突き進む。
「俺これでも
テンブラーは少女を誤射しないよう、少女の後ろにうっすらと映るバイオレットのみを素早く、的確に照準内に取り入れ、
発砲を再開する。空しさと共にバイオレットの横を通り抜け、遥か遠方の壁に突き刺さる。
これでもテンブラーは妻と娘がいるのだ。
拳銃を握っていない左手の薬指に嵌められた金色の指輪が一瞬光り出したような錯覚を覚えさせてくれる。
「これ護ろうとか生かそうとか考えてっ時点でもう決定なんだよぉ!! もうそろお前にとっておきくれてやっかぁ!!」
バイオレットはテンションが高ぶり始めたのか、少女を左手で拘束したまま、
目の前のテーブルに右足を大きく乗せて身を乗り出しながら、ショットガンを吠えさせる。
ψ まさにこれは、過激そのものだ!! ψ
ほぼ自分の身の半分以上を曝け出してしまっているものの、発射される弾丸の恐怖は変わらない。
テンブラーの
しかし、
(やりづれぇ奴だぜ……マジ)
テンブラーも射撃には自信があるものの、盾になっている少女が事実上邪魔であり、
思うように攻撃が出来ない事に対して腹を立て始めている。
テーブルの下にしゃがみ込みながら、そんな事を心中で呟いている。
ββ 何とかあの少女を取り返せないだろうか? ββ
「そんじゃ、お前に努力賞でも授けてやっぜ?」
バイオレットは相変わらず少女を拘束したまま、一度ショットガンを漆黒のロングコートの下にしまい、
そして別の
λλ 黒い球体型の小型兵器が三つ…… λλ
「受け取れぇ!!」
そのまま宙に投げ上げる。
――放物線を
「!!」
その飛来する物体にテンブラーが気付かないはずが無かった。
バイオレットの予兆のメッセージが強引に気付かせたとも言える。
φφ 宙を舞う球体……
ππ それが結局最終的に何を引き起こすのか……
ιι もうすぐ分かるのだ……
――◆◇ テンブラーの取るべき
「つっ! あれか!!」
その場からテンブラーは身を投げ出し、そのまま前転しながら次なるテーブルへとその身を隠す。
紫色のスーツが木片と擦れ合う事で僅かながらの汚れを持ち始める。
θθ テンブラーのいなくなったその場所で σσ
―ズドォオン!!
―バァアアアン!!
―ドゴォオオオン!!
▼▲ 小規模ながらも、爆煙がその場で立ち上がる!!
傷だらけのテーブルは砕け散り、周辺に散らばっていたハンターの死体も爆風の影響を受け、
更なる損傷を招く。元々散らばっていた血液が更に飛び散るのだ。
もしそこに立ち止まっていれば、テンブラーもその死骸の仲間になっていたに違いない。
「手榴弾だなありゃ……」
横で立ち上がるやや小さめな炎と、煙を横目で見ながら、投げられた物体の正体を知る事となる。
バイオレットのコートの裏はまるで油断の出来ない物で埋め尽くされているのだろう。
「でも過激なのは大歓迎だぜぇ!!」
テンブラーも負けていられまいと、今度こそはと再び拳銃に力を入れる。
――そこにいたのは……――
テーブルの上に堂々とその身を曝け出したバイオレット。
だが、様子がおかしい……。
既に遠距離用武器は左右どちらの手にも握られておらず、
何かやや大きな物を頭の上で持ち上げている。
正直な話、いつでも狙われてしまうと言う非常に危険な格好なのだが、
テンブラーは発砲出来なかったのだ。
δδ 理由は簡単…… δδ
狩人用装備の少女が持ち上げられていたのだ。
左手で少女の胸元を掴み、右手で少女の股関節を掴んでいる。
身体が下に向くように持ち上げられ、その様子から次に見られるであろう光景が
容易に想像出来てしまうかもしれない。
「大歓迎、かぁ?」
バイオレットは少女を持ち上げたまま、怖さも混ぜ合わせた笑みを浮かべる。
まるでこれからの光景を笑いの渦に巻き込もうと企んでいるかのように。
――その様子を見てテンブラーは……――
「お前……今度は何すっ気だ!?」
持ち上げられた少女を一度目に入れ、そしてすぐにバイオレットへ
視線を戻しながら問う。
「言ったろ? お前に努力賞くれてやるって。お前がそこら辺に散らばってる
少女を持ち上げたままでバイオレットはまるで懸賞を思わせるような事を
テンブラーに言いながら、徐々に少女の頭をテンブラーへと向け始める。
既にバイオレットはとある決断に入ったのである……
「受け取れやぁあ!!」
そのままバイオレットは力任せに少女をテンブラー目掛けて投げ飛ばす……