毒煙鳥は比較的大きなサイズを誇る怪鳥である。茂みの中にいたとしても、状態が大きく曝け出されている以上は他のハンターに簡単に発見されてしまう。ノーザンはすぐに、今日の獲物を見つけ出した。



「いたか俺の獲物ちゃんよぉ。今俺が滅茶苦茶にしてやっから待ってろよぉ」

 ノーザンは白い仮面のヘルムの裏で、不気味な笑みを浮かべ、そしてブレイジングハートと呼ばれるボウガンを構える。彼は現在、ボウガンの発砲によって毒煙鳥の全身が穴だらけになり、そして血が流れている所を想像していたのだ。

 最初は至って普通な通常弾で攻撃を加えていく。毒煙鳥がノーザンに気付く前に、最初の1発が紫色に染まった翼膜に命中する。



 自分に攻撃を加えてきたハンターの存在を知った毒煙鳥は、にわとりのような鳴き声を天に向かって放った後、一直線にノーザンへと接近していく。

「おいおいデケぇだけで俺に勝てっと思ってんじゃねえぞ?」

 ノーザンは再び銃弾を放つ。毒煙鳥のやや強度の弱い腹部へと命中するが、やはりゴム質で出来ているその皮膚はいくらかの弾丸を防いでしまう。

 しかし、毒煙鳥も対抗しなければと、突然鶏冠を打ち鳴らす。バチバチと火花が散り、そして辺り一面が非常に眩しい光に包まれる。

「ぐあっ!! あんにゃろう小細工しやがったなぁ!」



 視界を短時間だけであるものの、奪われてしまったのだから、ノーザンは怒りを見せる。

 鶏冠を破壊すれば、発行源を断ち切る事になるから、あの日会を放つ事が出来なくなる。しかし、下手に頭部を狙えば傷を付けてしまい、価値が無くなってしまう。

 通常弾を胴体に向けて何度か発射し、ゴムで作られた皮膚を破っていく。開いた傷口を狙い、鋭さのある貫通弾や、着弾時に爆発する徹甲榴弾を送り込んでいく。連続で攻撃を受ければそのゴム質の鎧も破壊されてしまうのだ。

 攻撃を受け続けたゲリョスは、一度撤退する為にその場から飛び立った。それはまるで最期の力を振り絞るかのようだった。



「逃げたか……臆病もんが……。逃げられっと思ってんじゃねえぞこん糞怪鳥がぁ」

 光を受けた怒りをまだ抑える事が出来なかったノーザンは、飛び立つ姿を見上げながら睨みつけた。勿論、彼は空中から逃げていくゲリョスを追いかける。

 崖に挟まれた道を進み、広い林に出る。そこにいたのは、先程までの巨体の傷だらけの毒煙鳥では無い。別のハンターだったのだ。

 そのハンターは現在、砥石で武器を研いでいる。

 ノーザンはそのハンターにボウガンの銃口を向け、迫った。

「俺の獲物をどうするつもりだ?」

前へ 次へ

戻る 〜Lucifer Crow〜

inserted by FC2 system