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四人を迎えた灰色の岩石と甲殻に身を包む岩壁竜
鳴らす意味?
それは、今巨体を走らせている、ただそれだけの意味なのです
では、何故走らせる理由があるか、ですか?
それはね……
勿論……
★ 滅ぼす為に決まってるでしょ? ☆
▲
橙色に染まり始めた空の下に広がる荒野で、岩の野郎は駆け抜けるのだ!
凛凛しいぜ! 凛凛しいぜ! 凛凛しすぎるぜ! ワイルドドラゴン! 決まってるぜ!
£ バ〜カ、凛凛しい訳無いじゃ〜ん。何考えてんのあんた? £
£ え〜? どうしてこんな事あたしが言うかって? £
巨体は
▲実は、真っ直ぐ進むだけで精一杯だ!△
それを知らない四人では無いのだ。
軌道を変えてこないなら、その場所に立っていなければいいだけの話。
それだけだ……
■四人は左右にずれる事で、
「あんなもん当たるかっつの」
フローリックは斬破刀を構えたまま、通り過ぎる岩壁竜の後部を睨みつける。
「ゲームスタートだなぁ!」
ジェイソンも同じく通り過ぎる岩壁竜を眺めながら、インセクトスライサーを手放さずに両手で回転させる。
「これでも喰らえっつの!!」
□
―>装填されていた通常弾
―>
―>反動も隙も少ないのがまたまた強み
―ドスッ!!
一応は命中したと表現してもおかしくは無い。
だが、命中場所が悪すぎた。
岩に塗れた翼に命中させた所で、岩壁竜に痛覚を
伝えるのは無理だろう。
それとも、揺れ動く標的をちゃんと狙えなかったのか?
いや、
――きっとスキッドも挨拶がしたかったに違いない……
■巨体がやがて、
地面を滑り、半ば強引にその巨体を停止させる。
転んで
▲身体が兎に角重い……重い……▲
重量級であるが為に、振り向くだけでもかなりの時間を費やしてしまう。
防御に強い分、俊敏性に弱いのだ。
ヤツラ……ドウナッタ……?
きっと岩壁竜もあの四人がどうなったか気になっているに違いない。
飛竜が喋る等殆ど妄想の世界ではあるが、きっとこのように呟いている。
ゆっくりと後方へと振り返るが、もう既に……
「はぁあ!!」
「いやああっはぁあああ!!」
クリスの可愛らしい気合、そして、ジェイソンの陽気な気合が響き渡る。
この二つが岩壁竜に対して断裁の予兆を植えつける。
△ スライシングジュエル!/Christina's sight
狙いは、巨体を支える脚部!
その右に位置する物である!
―>方向転換の過程でその足は上下運動をしているが……
―>クリスの
遂に少女の左手に持たれている
だが、願いが突き抜ける事は無いのだ
名前が『岩』竜だけあり、脚部も通常とは完全に異なる
防がれたとは言え、このまま脚部付近をうろうろしていれば。
不意打ちを受ける危険がある。
即座にクリスは一度その場から距離を置く。
▲ フレイミングガーネット!/Jason's point
この熱い男が狙う場所……
一対の翼の内の、左のそれである!
―>骨格は堅くとも、
―>わざわざ左足の僅かな出っ張りに足をかけ、
「クライすんじゃねぇぞ!!」
岩壁竜に泣き虫警告を飛ばし、赤を帯びた黒い刃、そして桃色を帯びた白い刃を閃かせる!
―>上から殴りつけるように、翼膜を斬りつける!
踏み台の効果があったのだろう、充分な跳躍を得られ、斬りつける事には成功したが、
その翼膜の強度もやはり尋常では無かったのだ。
▽飛ぶ必要が無い為に、強度と重量に重点を置いたのだろうか?▽
あまり質量があり過ぎれば飛行は困難になるが、
元々このタイプの竜はどこかの空の王のように
好き放題飛び回る訳では無く、地中を主な移動区域にしている。
だからこそ、この異常な強度が役に立つのだ。
きっとそうだ。
「やっぱインポッシブルだぜ……」
ジェイソンは諦めたかのようにしなやかに降り、
方向転換の真っ最中である
無機質で厳つい頭部がジェイソンへと向けられるが……
「あいつら速えっ……」
フローリックは二人にただ関心するしか出来なかった。
ジェイソンとクリスのような軽装とは異なり、フローリックのは
分厚い甲殻で作られた重装備である。
動けない訳では無いが、必要以上の素早さを発揮するのは不可能に近い。
それでもとりあえずは岩壁竜へと接近しなければ……
ダレモクタバッテイナカッタカ……
■岩壁竜にとっては非常に残念な
だが、これで諦めてしまえば
だからこそ、次に繋ぐのだ!
―>ようやく180°の方向転換が完了し……
「こっち見やがったか……」
フローリックが岩壁竜に辿り着く前にご対面となる。
人間側であるフローリックは太刀の構えを外さず、呟き、岩壁竜はフローリックを正確に捉え……
□
まるで二本足だけで立ち上がるかのように、頭部を最高部にまで持ち上げる。
元々二本足歩行のこいつではあるが、今回それが更に強調されている。
甲殻に覆われた胸部を突き出し、一対の翼を後方へと反らす
―― 一体この行動にどんな意味がある?――
―>良く見れば……
―>口元から炎が垂れている……
――【
だが、岩壁竜の
上から投げ下ろすようにじゃなきゃ届かんのだ!
▲▲フローリックは迫る熱気を鋭く捉える▲▲
「当たっかよ!」
防具の重量にも負けず、フローリックは正面から力強くずれる事によって
―ズゴォン!!
岩壁竜の火球は着弾と同時に
現に今、土の地面を
「おっと」
流石にフローリックにその小細工が通用するはずが無い。
過激な
「こいつならどうだ!」
距離を取っているスキッドはある意味で最も
だからこそ、
≪
名前の通りである。相手の憎たらしい胴体を貫く為に精製された魔の殺害兵器。
先端が鋭利であるのは、硬い甲殻や鱗を恐れての話。
金属のような力強さが惨たらしく相手を壊してくれるのだ!
勿論、金属製じゃないのは知ってるよね?
実際はカラの実を上手く加工して精製したものだからね〜
■狙うべき、岩の飛竜……
LOCK ON!!
GOOD LUCK!!
▽
狙えば充分に良い場所まで行けるに違いない!
♭
―>狙う部分は
―>だが、
石の仮面に傷をつけるだけで終わるのだ。
アホカ……
人間のような柔軟性に満ち溢れた表情を浮かべるのは不可能だが、
きっとその無表情の裏で怪しい笑みを浮かべているに違いない……
●本当なら、スキッドを始末したいと思っているが……
よくよく見ると、他の三人が身体を斬り刻んでいる……
μ 一発面白い物を見せてやろうか
「ショータイムか……、よっしゃ、離れっぞ!」
岩壁竜は突然上体を持ち上げ、そしてゆっくりと降ろし始める。
ジェイソンはそれを見逃さず、他の二人に呼びかける。
「あれかぁ」
「はい!」
フローリックは返事と言うよりは、何かを予測したかのような言葉を出し、
クリスは純粋に返事として発する。
合図が見事に効果を
――【
近くに虫がいるなら、殺虫剤を嗾けるに限るのだ。
僅かでも吸えば、相手は忽ち悶え苦しむ。
ω 胸部の
甲殻の隙間から毒素を
未知なる
―>だが、
合図のおかげである。毒を浴びずに済んだのは。
「あんなもん喰らったらおしめぇじゃねぇかよ……」
毒を噴霧している真っ最中である岩壁竜を橙色の細く威圧的な目でフローリックは直視しながら、
毒の恐ろしさを思い浮かべる。
ρ
しかし、攻撃を止めてもらわねば剣士達は一切の反撃が出来ない。
これこそ、
「これでも喰らえっつの! おれの秘密兵器だぜ!」
安全地帯にいるスキッドは徹甲榴弾を装填し、呑気に身体を引き伸ばしている
岩壁竜に向かってスキッドは
≪
内部に詰め込まれた撃砕龍魚により、着弾時に爆発するように仕込まれた心強い味方。
発射時に強い反動が
だからこそ、
★☆あれ? そう言えば彼のボウガンも確か