「っつうかこれ連射すんだよなぁ……」
■▲ ボウガンに備わった
一般人、ハンターも含めて
その
γ やがて、
しかし、岩壁竜は
そう、
―ドスッ……
ン……?
―>首元にぶつかる何か
―>やがてそれは、短くも、
―ドオゥン!!
―ドウゥン!!
▽歌い始めたのだ、
岩で精製された甲殻と言えど、これだけの爆発を受ければ、
何かしらの変化が訪れるに違いないだろう。
(ナイス! スキッド君!)
クリスは心の中で友人を褒めながら、爆破による痛覚の刺激で
身を屈めて
やはり
背中に比べれば相当薄い部類に入るはずだ。
あれだけ身体を引き伸ばせるのだから、多少なりとも
(こいつかってぇかんなぁ……)
フローリックも岩壁竜が怯んだこの隙を見逃さず、
多少心中で愚痴を零しながらも、太く、堅く、強靭な脚部に傷をつけていく。
―>残る一人の剣使いは……
「じゃ、おれはカバーでもしてやっぜ!」
ジェイソンの行動は、二人とは異なり、
一瞬紺色の陽気と道楽に満ち溢れた目が反れたが、そんな事はお構い無しに
当の本人は
■流石に三人も近距離にいれば邪魔になり兼ねない
だからこそ、ジェイソンはこの決断を下したに違いないはず。
スキッドに比べれば距離は離れていないものの、
細かい事に
κ だが、こいつの全身は文字通り
―>あるよ、狙える場所が!
―>
―>だったら……
■
傷つけていた右に位置する翼に回りこみ、そして
果たしてナイフにどんな意味が込められている?
クダラヌマネヲ……!
この飛竜は
いつまで黙っているつもりなのだろうか。
さっさと反撃しろ、なんて外部から言われるぞ。
思えば、こいつをこんな目に遭わせたのは、蒼鎌蟹装備のあのガンナーだった。
だったら、真面目にあの世へと送り届けてしまえばいいだけだ……
□岩壁竜は再び上体を持ち上げる
またあの攻撃をするつもりなのか?
でもすぐ距離を取られるのがオチなのでは?
発動するのは、あの……
【
では無く……
――【
今度の狙いは……
この飛竜は口から
口元に
相手に待つ余裕も与えず、それは発射されるのだ……。
σ そして遂に……口から
元々火山地帯付近を生息地とするだけあり、口から放たれるものも最悪な熱を帯びており、
触れた者を容赦無く灰へと変貌させる!
そして今、その熱線がスキッドを惨たらしく包み込む!
―>スキッドは悲鳴を飛ばす間も与えられず……
―>そのまま消え去り、この世を去った……
―>
のはずだった
が……
▲実際は、
そう、岩壁竜は成体に比べれば
あの
だから、今、この場での岩壁竜の状況はと言うと……
■空しそうな鳴き声を放ちながら、口の中で弱々しい炎を空回りさせている
だから、スキッドもまだ亡くなってはいないのだ。
一瞬だけスキッドは脅威の急迫に怖気づいてしまったものの、
すぐに体勢を整える。
「うっわ、ちょいビビった〜……」
とは言うものの、流石に平然とはしていられなかったようである。
それでも次に向けての準備は忘れない。
「ただの見せ掛けじゃねぇかこんにゃろ」
フローリックはその発射――に似た無意味な行為――の隙を逃さず、
大胆に腹部の甲殻を斬りつける。
「危ない! 離れて下さい!」
――突然響くクリスの甲高い警告
足元を斬りつけていたクリスだったが、岩壁竜は突然斬られいた右足を曲げ始めたのだ。
最初は純粋に痛いから下げていたのかと推測されるが、
実際は、足元にいる邪魔者を排除する為の作戦だったのだ。
▼標的は……
ジャマダ……
――【
ただ転倒するだけでは終わらせない。
転倒のついでに地面を転がって
通り道の存在を潰すのも面白い。
……しかし、
―>片足の力を抜き……
―>反動をつけて翼から地面に触れ……
―>とうとう背中が地面に接触し……
―>もう片方の翼が地面に触れ……
―>両足が地面へと戻るのだ
重量級が転がる世界は圧倒の破壊力を生産する。
巻き込まれた者は防具の有無に関わらず確実に潰される。
それは……
ι
「あっぶねぇぜ……。あんなもん喰らっちまったらあれだな……」
ある程度は余裕を持って回避したフローリックであったが、
確実に強固を誇る双角竜の装備でも岩壁竜の重量には耐えられないだろう。
睨みつけながら、その破壊力を恨めしく思う。
ハヤク……シマツセネバ……
だが、排除しようにも、纏わりつかれていては、邪魔でしょうがないものだ。
一度距離を強引に取らせてしまうに限るだろう。
―>一度大きく息を吸い込み……
―>胴体を引き伸ばす!
―>今度こそ……
――【
近距離の者にとっては毒ガスはまさに
こんな物を放出されたなら、距離を置かなければ
「また小細工しやがって……」
大胆な動作からこの行動を読み取ったフローリックは無理に近づこうとせず、毒霧が収まるのを
ただ待ち構えている。
「所が〜、遠距離はカンケーねぇんだよなぁ」
遠距離専門であるスキッドにとってはこれまた
■
今なら岩壁竜は動きを封じられたような状態だ。
それなら、狙える時に狙え、である。
「いっちょ行くぜぇ!!」
「スキッド君
スキッドにとっては絶好の攻撃チャンスではあったのだが、
クリスの叫び声がその絶好のチャンスの傷害と化す。
▽その言葉の意味は勿論……△
―>今だ毒に包まれたまま……
―>口元に再び熱の力を溜め込み……
―>それを一気に放出する!
――【
今度こそ、発射されたのだ!
その熱量は触れた相手を容赦無く焦がし、消し去るのだ!
「うわぁ!!」
クリスに反応し、スキッドは
すぐ隣を真っ直ぐ、そして熱風を周囲に放ちながら熱線が突き抜ける!
▼一体どこまで続く? この熱線▼
まるで限界と言う言語を理解しないかのように、ただ
灼熱の赤と橙色は、その通り道を自分だけの所有地と化し、誰も寄せ付ける真似を見せない。
偶然その地に居合わせていた小さな土や石ころは、その所有地の侵害者として、
強制的に退去させられるのだ。
しかし、退去とは、ただの
この熱線は居合わせる罪人を黒い世界へ送り届ける為の執行人そのものなのだ。
証拠として、土や石ころは容赦無く原型を崩され、この世に別れを告げる……。
「最悪じゃねぇか……」
熱線はフローリックを直接狙っている訳では無いが、周囲に放たれる熱は非常に強い物があり、
近づこうにもなかなか近づけずに、舌打ちを飛ばす。
□一度熱線は途切れるが……
岩壁竜はこれで終わらせない。再び首を持ち上げる
オマエタチ……マトメテ……!
―>首を強引に横へと曲げ……
―>周囲を薙ぎ払おうと強引に……
いざ、殺戮の炎を!
飛ばす!
飛ばす!
飛ばす
飛ば……す……
飛……ば……
飛………す……
飛ばす?
飛ば……?
飛ば……す?
飛……
と……
「コンプリートだぜ……」
あまりにも凶悪な光景がこれから写されるであろうこの時に、
呑気にジェイソンは陽気な笑顔を浮かべながら、
残ったただ一本のナイフを懐へと戻す。
―― 一体彼は何をしたと言うのだろうか?――
◆
一体何が起きたのか、それは見ていれば分かる事だ。
最終的には身体が地面に吸い寄せられ、
地響きを立て、そして遂に……
――
「あれ? 寝た……?」
突然の岩壁竜の容態の変化に戸惑うも、
クリスの言葉には間違いは無かった。
「うわ、なんかこいつ寝やがったんだけど、誰やったんだ?」
遠くからでも、岩壁竜が突然寝始めた様子はしっかりと捉える事が出来ただろう。スキッドは近くまで駆けつけながら、クリスに訊ねる。
「んと、私もよく分かんないんだけど……」
「おれだぜ、おれがジャッジメントかけてやったぜ」
クリスが首を傾げながら返答に戸惑っていると、すぐ横に雪獅子の武具を纏いながらも、上半身を裸の状態に保っているジェイソンの姿が現れる。
右手で
「ジェイソン、お前まさか睡眠毒でも仕込んだってか?」
フローリックもジェイソンの横に現れる。恐らくジェイソンはとある毒素を上手く活用したのだろうと、フローリックは話しかける。
「ピンポンだぜ。こいつにちょいと
ジェイソンは回転させ続けていたナイフの動きを止め、刃の部分を左人差し指で差しながら事情説明を施す。
「確かそれって刺した奴をなんか寝かせるみたいな、そんなやつだったよなぁ?」
スキッドも睡眠毒については多少の知識があり、ややぎこちない印象を与えるものの、内容としては大体正しいものとして捉えて問題無いだろう。
「ああ、スタブされた奴はだ、たちまちスリーピングモードにインするって言う頼もしい勇者なんだぜ? でもワイバーンっつうのは妙にタフだから、何回もスタブしなきゃスリーピングしてくんねぇんだよ」
スキッドのぎこちない質問にも動じず、ジェイソンはさっき使ったナイフがどれだけ討伐戦で楽しい存在へと化すか、再びナイフを回転させ続けながら説明を続ける。
その刃には毒が存在するかどうかの判断は出来ないが、キャッチし損なった時の被害は大きいものとなるだろう。それでも臆する様子を見せない彼はある意味でかなりの実力者と言える。
「ってかジェイソンお前、なんでわざわざ寝かしたんだ? なんかあったのか?」
すぐ後ろで大きな
「ああ、それなぁ、実は、やっとファインド出来たんだよ。例のあのキーパーソンならぬ、キーキャットがなぁ!」
――ジェイソンの右親指の先に写る岩のすぐ横にいるのは……――